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2013年4月2日火曜日

オンラインショッピングの転換率(コンバージョン率) - 連載第5回


次に転換率(Conversion rate)について考えてみます。商売は先ず人がいるところでする必要があり、人がいない場合は人を呼んでくる必要があります。従い、先の章のいかに人を呼んでくるかが非常に重要です。一方で人を呼んできても購入してもらえなければ貴社に落ちるお金はゼロ円になります。呼んできた人のうち何人が購入に至ったかの指標となるのが転換率(以下CVR - Conversion Rate)です。CVRを上げるには複合的かつ高度な取り組みが必要になります。複数の一般的な取り組みはありますが近道はないことだけは理解して地道に努力をしていきましょう。

1.サイトの離脱箇所
CVR改善には貴社のサイトのどこでユーザーが離脱しているかを知る必要があります。ユーザーの動向を知るためにはGoogle Analyticsに代表されるサイト分析ツールを導入する必要があります。まだ導入されていない場合は分析ツールの導入から始めましょう。貴社の対応システムがGoogle Analyticsなどのサードパーティツールを導入可能な場合は貴社のITチームに導入してもらいます。サードパーティツールを使えない場合は、システム自体に組み込まれていないか確認します。貴社のビジネスにとってこのサイト分析ツールは命綱といえますので何らかの理由でサイト分析ツールを導入できない場合はシステムの乗り換えも真剣に検討しましょう。サイト分析ツールにはGoogle Analyticsの他、アドビ社が提供するSiteCatalystもあります。SiteCatalystは貴社にあった柔軟な設定が可能ですが導入とメンテナンスが少々難しくなっています。一方、Google Analyticsは簡単に導入できるものの深くカスタマイズされた分析には不向きといえます。どちらが貴社に向いているかじっくり検証して導入します。

一旦導入した場合、監視すべきKPIはサイト全体の離脱率、トップページの離脱率、カテゴリーページ、サーチページ、キャンペーンページなどそれぞれのサイトセクション毎の離脱率となります。それぞれ注力箇所を選び日々のトラッキングを開始しましょう。

その中でもトップページは貴社のブランディングの成果を見るページでもありますので最重要ページとして監視します。特にこのページに関しては常に改善を入れられるように心がけます。Aパターン、Bパターンで結果の違いを確認できるABテストツールも広く出回っていますので、必要に応じて導入します。こちらもアドビ社のTest&Targetが有名なソフトウェアとなります。もちろんそのような有償ツールを使わなくとも露出率50%でバナーのクリック率の比較をするなどいくつかの方法がありますので是非トライして下さい。

トップページの離脱率対策として有効なのは、閲覧履歴や、商品ブックマーク、カート内商品の表示、レコメンデーションなどユーザーの主体的アクティビティの結果選ばれた商品を分かりやすいところに表示することです。閲覧履歴だけでも10%以上は離脱率が下がると思われます。重要なのはユーザーの行動意志に関連した商品を表示することで、高度なテクノロジーを使わなくとも適切に表示出来れば離脱率の改善に大きく貢献します。

次に目をつけるべき箇所は貴社のサイト内でトラフィックの多いサイトセクションになります。通常はサーチ結果かカテゴリーページになります。こちらもトップページと同じ要領でユーザーの行動意思に関連した商品を表示することはもちろんですが、売れ筋等のランキングコンテンツや、トレンド商品の表示など手作業での充実したコンテンツの表示も効果的です。このようにセクションごとの離脱率を削減していく地道な努力が最終的にはサイト全体としてのCVRの向上につながりますので、分析と改善を継続してきましょう。

2.カート改善
次に重要なのはショッピングカートとお買い物ステップそのものの検証です。今ではオンラインショッピングは汎用的なものとなり、どのサイトも似たようなお買い物ステップを実装しています。しかし似たようなお買い物ステップだからといって必ずしも最適とは限りません。特にこのショッピングカートでは買う意志のあるユーザーが到達してきているわけですから、少しの改善で劇的な効果をもたらすことがあります。皆さんもアマゾンがワンクリックで購入できるようにしているのをご存知かと思います。もちろんユーザーの利便性を上げることが目的ではありますが、彼らもカートでの離脱率を極限まで下げるにはどうしたらいいかといろいろ検証した結果、ワンクリック購入にいきついたはずです。ワンクリック購入はまだアマゾンの特許であるのと、よほどユーザーから信頼がないと決済を含めたデフォルトのお買い物方法を保存することに抵抗があると考えられるため、先ずは通常のお買い物ステップが最適な流れになっているかを確認します。

- 確認ポイント1
先ず確認すべきは貴社のサイトが会員制になっているかどうかという点です。会員制すなわち、購入にあたりユーザー登録が必要かどうかです。当然のことですが、ユーザーの心理的プレッシャーという視点から考えるとわざわざ会員登録しなくても購入出来る方が、ストレスが少ないですし利便的でもあります。では会員登録をなくそう、と短絡的に考えることはできません。これは貴社のビジネスモデルがどのような視点になって構築されているかにも左右されます。通常のオンラインショップであるならば、ユーザーを会員化して次の購入につながるオファーを送りたいと思うでしょうし、会員特別キャンペーンなども考えられているでしょう。従い、この会員にするかどうかという議論は既に出尽くされた感があり、会員化する方向で運営者側が動いているのが流れです。

また、ユーザーからみてもすでにお買い物用メールアドレスを持たれている例も多く会員登録することにさほど抵抗を感じていないようです。ただ参考までにアメリカもオンライントラベルサイトであるエクスペディアは(expedia.com)、発足当初から会員登録は不要で、世界中のほとんどのサイトが会員化にこだわっている現在も、会員登録は旅行予約のあとユーザーが望めばという形をとっています。そこにはいいトラベルの在庫をもっており、いいユーザーエクスペリエンスがあればユーザーが戻ってくるという彼らの確固たる意志を感じます。

一旦会員化すると決めた場合の検討箇所は、1.会員にならなくてもお買い物ステップに入れてお買い物を終了できるかと、2.お買い物後会員になるかを選択できるかという点でしょう。1は貴社のポリシーの問題ですので、ポリシーに沿って決めて頂き、会員にならなくても買えるようにする場合は、ゲスト購入できることをお買い物ステップの最初に明確にうたいます。2はお買い物内容確定時、もしくは確定後に会員になるかどうかをチェックボックスにて選択させます。確定後の場合は全くお買い物のCVRに影響を与えない反面、会員になる人数は確定前に選択させることに比べて劇的に減るでしょう。こちらも貴社のポリシーの問題となりますのでよく話し合って決めて下さい。

この会員登録の箇所を除くとショッピングカートのCVRに対する確認場所は限られてきます。1つめは住所入力と送料確定画面です。全品送料無料や全国一律いくら等の均一料金設定がなされていない場合は商品の組み合わせと配送地域により送料が変動します。変動送料制をとっている場合、どこで送料を確定させるかがひとつの検討課題となります。一般的には、送料の確認は商品ページやショッピングカートで可能で、最終送料が確定されるのは送付先を確定した時となります。

従い、商品確定>住所確定>送料確定というフローを通ることとなります。通常は、住所入力負担の軽減、不要な情報は入力させない、送料は安いものから並べる等の工夫による地道な改善が必要となります。

- 確認ポイント2
2つ目の確認ポイントは決済方法となります。現在各国共に主流はクレジットカード決済となっていますが、もちろん銀行振り込み、デビットカード、コンビニ支払いや代金引換え等のオルタナティブペイメントも重要な位置づけを占めています。また、PayPalなどの決済プラットフォームも重要なプレーヤーとなります。ここで留意すべき点は、ユーザーは多彩でありユーザー一人一人使いたい決済手段は違うということです。この観点からいくと、この決済ステップではいかに多くの決済手段を用意するかという点が最初のCVRの改善ポイントとなります。市場的にはクレジットカードと銀行振込、国によっては代金引換えなどの主要2から3決済手段で十分という統計がでているでしょう。しかしユーザーは多彩ですので、数パーセントでも需要があるのであればその決済手段は導入すべきです。現在は一社に繋げばほとんどのオルタナティブペイメントにつながるという決済ゲートウェイ業者も多数でてきていますので検討する価値はあるでしょう。また日本では今ひとつ人気のないPayPalですが、国によっては大きなシェアを占めていますので、検討してみる価値はあります。もちろんその際PayPalにユーザー情報や、購入情報などが渡リますので、貴社の成長戦略の中でPayPalのような決済業者は、競合となるのかパートナーとなるのかを見極めて導入します。

日本ではまだ使えませんが、Google checkout、Checkout by Amazon等もPayPalと同様に捉えることができます。これらの新決済手段の最大の魅力はクレジットカードを保存していることです。ユーザーの心理状況としてはなるべく自分のクレジットカードの保管業者は制限したいと思っています。従い、いくら貴社がライセンスを取り(VISA/MasterCardの要請によりクレジットカード番号の取得、保存にはPCIライセンスの保有が必要)カードを安全に保存するといってもなかなかユーザーは信用しません。それならばPayPalなどの既にカード番号保有が既にデフォルトとなっているサービスと連携するというのも十分考えられる選択肢だといえます。逆に、そのような市場環境にもかかわらず貴社を信用してカード番号を保存してくれるユーザーは非常に優良顧客である可能性が高いですので、マーケティングの素材として大いに利用する価値はあるでしょう。

またクレジットカードに関しては分割払いの実装も非常に重要な要素となります。世界中、特に新興国では大多数のユーザーがカードを分割払いで支払っています。貴社の決済ステップも分割払いが明確に選択できるよう設定しておきます。その際金利手数料の変動がある場合も明瞭に表記する必要があります。

以上、送料計算ステップ、決済ステップの見直しが完了したら最後にもう一度カート全体の流れを確認します。ボタンの色や配置など細心の注意を払って前ステップの統一性を確認します。最後に難易度は高くなりますが送付先や決済方法などをデフォルト登録できるようにして、次回のお買い物から最小ステップで通過できるような仕組みを導入することを推奨します。

一方で、折角全お買い物ステップを無事に通っても、銀行振込み等後払いの決済方法については別途後払い対策が必要となります。考えられる対策を施す必要があります。代表的なものからいいますと、1.お買い物完了画面での「まだ注文は完了していません、今直ぐお支払いを」などという警告メッセージ、注文完了メールでの警告、更には在庫保持期間終了前日の支払い催促メール等です。また貴社のコールセンターからの直接の電話も効果的です。折角売ったものを逃すというのは、そのステップに行くまでに投下したマーケティング費用等を考えると非常に痛手となりますので、最後の一手を緩めないように、お客様に迷惑を与えない程度に厳格な対策が必要となります。

最後になりますが購入完了後、再度「お買い物を続ける」等と称して次の購入へ誘導するというな施策も単純ですが再購入を促す効果がありますので徹底して対策しましょう。

次回は商品ページと商品について記載します。