今月より新連載「実践!成功するKPI管理」を開始致します。本コンテンツはDavid Parmenter氏の著書Key Pefromance Indicatorの要素を分かりやすく説明したものになります。
イントロダクション
日本経済の停滞とともに、生産性向上とそれに必要なKPI管理が叫ばれて久しいですが、実際は多くの企業がKPIを間違った形で運用しています。KPI管理を始める前にまずKPIには4つのタイプがあることを理解する必要があります。
1.Key rusult indicators (KRIs) はいかに貴社が重要成功要因を実行したかを示します
2.Result indicators (PIs)は貴社は何を実行したかを示します
3.Performance Indicators (PIs)は何をしないといけないかを示します
4.KPIはどのように貴社のパフォーマンスを劇的に上昇させるかを示します
多くの企業で使われているKPIはこれら全てを混同して使われています。
玉ねぎに例えると玉ねぎの皮がKRIとなり、どのような見た目、結果が得られたかを見ることができます。そのKRIの皮を剥くことで、RIやPIを見ることができ、その中心に位置するのがKPIとなります。
[Key result indicator]
ではまずKRIとはそもそも何でしょうか?KRIは一般の企業ではよくKPIと混同して使われています。KRIの代表例としてあげられるのが、下記となります。
・顧客満足度
・営業利益
・顧客の収益性
・従業員の満足度
・投資回収率
これらの指標の一般的な特徴は、多くがあらゆる行動の結果を示すものということができます。KRIは貴社が暗闇の中、問題なく飛行しているかという結果を教えてくれます。しかしながら、それらの結果をどのように向上したらいいかは教えてくれません。これらのKRIは取締役会など日々のオペレーションに携わっていない重役への報告には意味をなしますが、日々のオペレーションには意味をなしません。
KRIは通常KPIよりも長い期間の結果を示します。大抵の場合、月次や四半期ごとの報告書に用いられ、KPIのように週次や日次の報告に使われることはありません。企業のガバナンスのために各種の報告書が必要であり、その中のハイレベルな情報として10個ほどのKRIが記載され、その下にバランススコアカード形式に各種RIやPI、KPIが含まれるという内容が一般的に使われます。
[Performance incicatoreとResult indicator]
通常KRIとKPIの間に80個ほどのPIやRIが作成されます。PIは重要ではあるものの企業の主要な指標ではありません。むしろ各チームがいかに会社の目標に沿って動くかという指標になります。PIの代表例としてあげられるのが下記になります。
・トップ10顧客による売上の上昇率
・過去30日の顧客による改善推奨の数
・主要顧客からの苦情件数
・主要顧客への納品遅れ
一方RIは活動のまとめということができます。通常全てのファイナンス情報はRIに分類されます。売上の分析などは最たる例で、日々の営業活動の大きな助けになる一方、その数字の変動を理解するには、各数字をもたらした個別のアクションを確認していく必要があります。RIの代表例としてあげられるのが下記になります。
・主要商品の粗利益
・昨日の売上
[Key peformance indicator]
それではKPIとは一体何でしょうか?KPIとはその組織の現在のそして未来の成功のためにもっとも重要でクリティカルなパフォーマンスを測るべき指標となります。往々にしてKPIは新しいものではなく、ただ重要と認識されていないだけのことが多いといえます。
ここで1つの例を紹介します。
1980年代にBritish Airwaysが劇的に業績を回復させたのはある一つのKPIに紐付けさせたからだといわれいます。それは定時発着率です。もし定時に発着できなかった飛行機があれば、各空港のBAの責任者はボスから直接の電話を受けて事情の説明と対策を施さなければならなくなりました。この仕組み化と業績の向上はみごとにリンクしていきました。定時発着できない飛行機は下記の弊害をもたらします。
・乗客のホテル代負担や、空港からの追加費用徴収などあらゆる費用を増加させます
・顧客の満足度を劇的に低下させます
・追いつくためにより燃料を使うのでオゾン層の破壊を進めます
・従業員に同様の失敗を繰り返す悪い癖がついてしまいます
・サプライヤーとの関係を悪化させ結果、より貧弱なサービスを提供することとなってしまいます
・従業員が毎回火消し作業に跳び回ることにあり、従業員の満足度が低下します
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