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2013年11月25日月曜日

実践!成功するKPI管理 第4回 - 10/80/10 ルール

10/80/10 ルール

10/80/10ルールとは、1つの組織に10個程度のKRIが存在し80個程度のRIとPIが存在し、10個程度のKPIがが存在するというルールです。それ以上の計測が必要ケースはほとんどないといっていいいでしょう。多くの組織は最初80個程度のRIとPIでは全く不足していると感じるでしょう。しかし、ひと度しっかりと調査をしてみると、多くの指標はある指標の組み合わせでできていることに気づくはずです。

また多くのKPIチームは最初たった10個しかKPIが作れないとしたらそれでは制限が多すぎると感じるでしょう。そして、30個まで増やせないかと確認してくるはずです。しかし実際には慎重に分析を開始すると、その組織が多数のビジネスユニットを持っていない限りKPIの数はすぐに10程度まで落ちてくるはずです。複数のビジネスユニットがある場合は、10/80/10ルールはビジネスユニット毎に適用されます。


適切なタイミングでの経営陣による管理の重要性

これ以上先に進む前に先ずマネジメントの重要性について考えてみましょう。指標の計測の重要性については世界中の企業で広く受け入れられています。アメリカでは多くの企業がバランススコアカードを、従業員の行動を企業の目標とバランスのとれた形で追求するために導入しています。

マネジメントが適切なタイミングで判断することは非常に重要です。もし貴社のマネジメントに届けられるKPIが数日遅れているのであればそれは全く使い物になりません。KPIはリアルタイムに準備されるべきものです。もし、週次にしかとれないものであってもそれは次の営業日に入手できなければ意味がありません。推薦されるレポーティングフレームワークは下記の通りです。

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いくつかのKPIは日次、もしくは24時間いつで更新されるべきです。その他のKPIは週次でよいものもあります。そのKPIには実行力に関するKPIも含まれているべきです。多くの組織では実行、完了が問題となることが多数あります。通常の週次にレポートされるKPIだけでは、十分な速度が出せません。この実行力、すなわち「完了」に関するKPIは、組織風土を革新的に改善し、プロジェクトやタスクの完了数が劇的に上昇するでしょう。

RIやPIは日次、週次、隔週、月次等、様々な時間軸で計測されます。KRIは取締役会へのレポートに最適なため取締役会の周期に合わせた月次などの集計が適切と言えます。


業績指標からの悪い結果

指標管理の取り組みは往々にして指標管理と組織の成功要因に関して知識のないスタッフにより始められます。そのため、KPI管理を成功させるためには、常にスタッフに対してその指標に対してどのようなアクションを取るべきなのかが明確になっており、その行動結果を計測をしているのかを確認する必要があります。いかに業績指標が間違った方法で使われているかは次回ご紹介する2つの事例でよく理解することが可能です。

2013年11月9日土曜日

実践!成功するKPI管理 第3回

KPI and KRI

[KRIとKPIの違い]

しばしワークショップの質問時間に、「KRIとKPIの違いは何か?」という質問を受けます。

車のスピードメーターはRI(Result Indicator 結果指標)とPI(Performance Indicator 業績評価指標)の違いは何かを明確に教えてくれる例となります。車が走っているスピードはスピード自体が、どのギヤとどの車重と、どのガソリンなどという複数の変動要素からできているためRIとなります。PIの例としてはどれほど経済的に車が巡航しているか、エンジンがどれほどの温度を保っているかなどというものが考えられるでしょう。

多くのマネジメントに関する書籍はKPIをリード(将来見込み)とラグ(過去)によって説明しようとしています。しかし航空会社の例をとってみるまでもなく、定時発着率というKPIは、過去のことも示しますし、それにより生み出される問題のことも示します。従い、リードとラグという見方でKPIを捉えることは適切ではないといえます。

KRIとRIは結果を計測する指標です。KRIの多くは月次や、四半期毎に管理され、RIはより短い期間、例えば昨日の売上などという形で管理されます。PIとKPIは、下記、現在、未来を計測するための指標となります。現在指標とは24時間毎日計測される指標のことを指します。未来指標とはアクションが実行されるための未来に対するコミットメントの指標のことを指し、例えば次の重要顧客との会合の日時などを指します。貴社の中のKPIもこの現在か将来かという軸で分類することが可能です。ワークショップで私は参加者にいくつかの重要指標をリストアップしてもらいます。そしてそれぞれの時制に分類してもらいます。

多くの組織でその習慣を変えるためには、将来どのようなアクションが取られるかが明確に計測されなければなりません。将来指標の例は下記のようなものを含みます。

1.インターネット関連企業でイノベーティブな組織になるためには、各取り組みの数を計測する必要があります。どれだけの取り組みが明日、次の週、来月オンラインになるのかを計測することが重要です。

2.売上を増加させるためには、既に実行されたか明日、来週、来月にスケジュールされた顧客とのミーティング数を計測する必要があります。

3,重要顧客との親密な関係を継続するためには、顧客と合意した次のソーシャルな会合(会食、スポーツなど)がリストアップされている必要があります。

4.CEOのプロフィールの質を維持するためには、PR(パブリックリレーション)とそのイベントが先立ってスケジュールされている必要があります。


これらの将来指標は週次ベースでCEOにレポートされるべきです。CEOは数週間目標と乖離があるのを黙っているかもしれませんが、すぐにその目標との乖離は何故おきているのかを質問し始めるでしょう。そうすることでマネージャーは次の週までに将来のCEOからの居心地の悪い質問を再度されないように何らかの対策を講じようとするはずです。このモチベーションこそがKPI管理の原動力となります。

2013年11月5日火曜日

実践!成功するKPI管理 第2回


[KPIの7つの特徴]

KPIには下記のような7つの特徴を見て取ることができます。

1.KPIはファイナンス関連の指標ではありません(ドルや円では表示できません)
2.頻繁に計測される必要があります(24時間、日次、少なくとも週次)
3.CEOか批准するシニアマネージャーによって推進される必要があります
4.スタッフによるどういうアクションが必要かが明確に示される必要があります
5.責任はチームレベルに落ちる必要があります(CEOはいつでもチームリーダーを呼び出し必要なアクションを取らすことが出来る必要があります)
6.会社の業績に大きなインパクトがあります(いくつかの重要成功要因やバランスコアの成否に直結する影響力をもっています)
7.的確なアクションが自然に生み出されます(生煮えのKPIでは変化への気付きが実行までおちません)


1.ドルマークや円マークをつけた時点でそれはKRIに変換されたと考えられます。KPIはそれらのKRIよりもはるか深くに存在すべきものです。例えば売上の主要な割合を占める顧客とのコンタクト回数などが考えられます。

2.基本的には24時間365日、日次、最低でも週次で計測されるべきものです。月次や四半期、半期ごとの指標がKPI足りうることはありません。というのも物事が起こった何日も後に計測しているのであればその指標が貴社のビジネスの「Key」であることはないからです。KPIとは現在もしくは未来に起因する指標であり、過去の出来事を振り返る指標ではありません。残念ながら多くの企業では過去の指標を管理しています。

3.全てのKPIには会社の業績を変える力があります。それはCEO自らが多くの時間をさいて監視しているからです。CEOは必要であれば毎日現場の責任者を呼び出したり電話します。当然毎日CEOから追求されるのは現場からすると心地よいものではなく、それ故に大きな推進力が発生します。先の航空会社の例では生産的でイノベーティブなプロセスは同じ過ちを防止するために生み出されました。

4.KPI自体がどのようなアクションが必要かを教えてくれます。再度先の航空会社の例では、定時発着率の低下というKPIは、KPI自らが損失を埋めるために何らかのアクションをしないといけないと働きかけました。クリーニングスタッフ、地上スタッフ、交通管制担当者、全ての従業員が1分を削りサービスレベルを維持し、向上するために全力を尽くしました、または尽くす意味合いをKPIが働きかけて教えたといえるでしょう。

5.KPIは各チームの活動に結び付けられる必要があります。別の言い方をするとCEOはいつでも担当のチームの誰かを呼び出し「何故?」と聞くことができます。従い資本利益率などはKPI足りうることはありません、何故ならそれは各チームの活動に結びつけられないからです。それは各チームの総合的な活動によりもたらされる結果だからです。

6.会社の業績に大きなインパクトがあります。いくつかの重要成功要因やバランスコアの成否に直結する影響力をもっています。言い換えると、CEO、各マネージャー、スタッフがKPIに集中している時、組織はひとつの目標に向かい自走できます。航空会社の例では、定時発着率が全てのバランススコアの達成に必要な活動につながりました。

7.KPIを設定する前に、それらは各マネージャー、スタッフに対して望ましい振る舞いをもたらすかどうかをテストする必要があります。一方でKPIが全く機能しない振る舞いをもたらした事例は多数あります。次回に2つの事例を説明します。