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2013年5月13日月曜日

オンラインショッピングの商品と商品ページの秘訣 - 連載第6回


商品ページでの転換率アップの施策

商品ページは実際の店舗で考えると接客にあたります。折角お金をかけて呼び込んだユーザーも接客がまずくて逃していてはそのうち店を畳まなくてはならなくなります。それほどに商品ページでの接客は重要な改善ポイントとなります。商品ページの改善の多くが直接CVRの改善に寄与しますので本腰を入れて取り組みましょう。全体のコンセプトとしては情報量の多いリッチコンテンツのページを作成し、ユーザーに商品使用のイメージを訴えることがポイントとなります。

先ず大事なのは当然ですが商品写真です。当たり前ですが薄暗くて商品の見栄えがしない写真などは致命的です。致命的と分かっていても写真を撮る技術がなく仕方なく使っている方も多いようですが、写真は簡単なコツを掴むことで驚くほど簡単に改善しますので是非専門書やサイト、必要であればセミナーに通い写真の腕をあげてください。一般的には商品撮影用の簡易スタジオ的なものを事務所に作り、いつも同じ環境で安定して写真を撮ることを推奨します。簡易スタジオといっても通販などで簡単に手に入る撮影キットと三脚で十分用を足します。また、撮影した写真はアドビ社のフォトショップなどで加工をすることでプロフェッショナルな仕上がりにすることが可能です。この辺りを下請けする企業も多数あるので貴社の戦略に従い内製するかアウトソースするかを決定します。

写真が出来れば次はコンテンツです。先ず検索対策として該当商品の売りであるキーワードを必ず商品名と商品説明文に入れることが重要です。また意思決定に必要なスペック等も漏らさず記載します。ここまでやってようやく並の下程度の商品ページとなります。

これ以上を目指すには貴社の取り扱う商品によって変わってきます。もし貴社が家電などの型番を売っているのであればより重要なのは型番そのものと価格、その価格が価格比較サイト等比較しやすいサイトに載っていることが最重要課題となります。また、その商品に関するレビューや口コミも購入を後押しする要素ですのでユーザーに協力を仰ぎ出来る限りのコメントを記載してもらうようにします。レビューを書いてくれたらプレゼント進呈などという手段も有効でしょう。
一方でオリジナル商品、グルメやファッションなどを扱っている場合はより充実したコンテンツが必要となってきます。オリジナル商品の場合は商品の各ディテール写真も必要でしょうし、その商品の使用シーンを彷彿させるいえメージ写真も必要でしょう。ファッションであれば該当年齢のモデルが着た写真や、他商品とのコーディネート、使用シーンのイメージ写真などが重要となります。これらを盛り込んでいくと必然的に各商品ページがリッチコンテンツ化していき、結果的に前述のSEO効果もでてきます。一朝一夕には達成出来ませんのでしっかりと腰を入れて取り組みます。

いずれのケースでも商品説明文にはしっかりと、貴社製品の売りを明記する必要があります。すなわち、この商品を買うことでどのような利点があるのか、この商品は競合と比べてどう有利なのか、メディアに取り上げられた等の実績、事実はあるのか、ない場合使用したユーザーの声はどのようなものか。商品ページ一つをとってもこのようにバラエティに飛んだ取組課題があります。しっかりと戦略と優先順位を立てて取り組みましょう。


商品そのものでの転換率アップ

最後に商品そのものが魅力的か、また魅力的な価格かという問題が残ります。転換率のコーナーの最後に書きましたが実は全ての転換率の取り組みの中で最も重要な項目といっても過言ではありません。考えてみて下さい、もしその商品が世界中であなたの店でしか売っていなかったらどんなにユーザーエクスペリエンスが劣悪でも、どのように不親切なページであってもユーザーが知ってさえすれば必ず貴社のサイトで購入するでしょう。実店舗の商売でも、「商売は仕入れだ」とよく言われますが、オンラインショッピングでもまさしくその通りで、いかに競争力のある商品を競争力のある価格で仕入れてくるかが勝負となります。

そんなの分かっているけどうちの規模ではいいものをいい値段で仕入れるのは難しいんですよ、という声もよく聞きます。ではそのような店はどのようにしたらいいのでしょうか?いつも大手に負けてばかりなのでしょうか?ざっとオンラインショッピングを探してみても実はそうではないことに直ぐに気づくかと思います。地方の小さな店でも日本中、世界中に商売をしていらっしゃる店舗はたくさんいらっしゃいます。彼らが分かっていて実施して、一般に実施していないこととは何でしょうか?

実店舗の商売の慣用句に「商売、損して元取れ」というのを聞いたことはあるでしょうか。結局は、オンラインであってもオフラインであっても商売の原理は一緒で、投資をしてユーザーを獲得しそのユーザーにリピーターになってもらうことが勝利の方程式です。飲食店であれば常連さんにはどんどんとサービスをして、その常連さんが他のお客さんを連れてくるという連鎖を作るのではないでしょうか。オンラインショッピングであっても図式は同じです。

最も大事な戦略は「入り口商品」と言われる、初回ユーザーを捕まえるいわゆるキラー(Killer)商品です。もし貴社が卸直販煎餅を売っているとしたら、大口だから安いというのはもちろん売りですが、それでは食べたこともないユーザーは購入に躊躇してしまいます。従い、初回購入ユーザー用に送料込みで1000円程度のお試しセットを用意します。一般消費者の立場にたって考えてみて下さい。1000円、しかも送料込みであれば少々失敗しても痛手はないですし、むしろその辺のデパートで買うより安いですのでひとつ買ってみようかということになるのではないでしょうか。

または、日々必要な日用品でユーザーがその商品の価格帯を理解している商品なども取り組みやすいです。例えばシャンプー、洗剤、水、油、季節によっては蚊取り線香や虫よけ、日焼け止めなども大体の相場が分かっているのではないでしょうか。そのような商品で貴社にマッチするものを選び、送料込みで市場価格よりも安くして売り出します。当たり外れはあるものの幾つかは当たり、時にびっくりするような数量の注文が入ってくることでしょう。

「いやいや、話は分かるがそれでは損をしっぱなしだよ」というご意見も分かります。しかし商売損して元取れです。この新規ユーザーをいかに次の購入に繋げるかが貴社のビジネスの分かれ道になります。いくらユーザーを呼んできても購入しなければ意味がありません。Visitorとしてカウントされる訪問ユーザーとPurchaserとしてカウントされる購買者のランクの違いは天と地ほどの違いです。もし貴社の転換率が1%であれば、100人の訪問者のうちたった1人が購買者なのです。従い商売開始時の最初の目的はいかに購買者を増やすかということです。

オンラインショッピングの算数
本連載の趣旨は「オンラインショッピングの算数」ですので、これら一連の入り口商品に対する取り組みを数学的に検証してみましょう。

貴社が仮に日用美容ショップだとし、シャンプーセットを880円送料無料で売りに出したとします。通常このシャンプーセットは980円から1100円の間で売られているとします。この商品の存在をユーザーがメルマガなどで知った場合どのような反応をするでしょう?「あ、安い!え!?しかも送料無料!?」「今のシャンプーはちょっと残っているけどどうせまたなくなるし買っちゃおう♪」と、なるのではないでしょうか?

当然市販980円のシャンプーも薄利多売で1セット売っても100円も儲からないと思われます。仮に仕入れ値を880円とします。送料はいくら業者とかけあっても300円程度になるのではないでしょうか?

数式
売値880円ー仕入原価880円ー送料300円=利益▲300円

「300円の損じゃないか!」
おっしゃるとおりです。しかしもしこのユーザーを貴社のメルマガだけで獲得したとしたら、メディアコストは0円、よってこのユーザーの獲得コストは300円ということになります。この300円が高いか安いかは貴社のユーザーのライフタイムバリュー(LTV)の総額によります。LTVについては他の日にでじっくりとご説明しますが、簡単に言うと1ユーザーが生涯貴社のサイトでいくらを使ってくれるか、その際の貴社の利益はいくらかという数字になります。もしこのLTVが300円以上であればもちろんこの取組は続けるべきですし、LTVが300円もないというのであれば、そもそもの集客方法も含め根本的な戦略の見直しが必要といえます。

ご理解いただけましたでしょうか、オンラインショッピングで重要なのはCPAと呼ばれるCost per acquisition、1新規購入者の獲得コストであり、それは貴社の商品構成とその利益率、1ユーザーの貴社への利益貢献率により変動してきます。重要なのはその必勝のセオリーを理解し、しっかりと投資をコントロールすること。また、先にお金を使わないとユーザーは来ないということを理解する一方、一度来てもらったユーザーにいかにリピートしてもらうかということが最重要な取り組みとなります。

以上、転換率を上げるために貴社の戦略的な商品選定、特に「入り口商品」の設定と、その科学的、数学的分析とコントロールが重要です。この取り組みはその他の取り組みと共に継続的に実施していく必要があります。