貴社のビジネスの通信簿は、今まで説明してきた公式である「訪問者数」x「転換率」x「購買単価」に加えて、「リピート率」となり、これらの指標が今後の貴社の成長を予言します。
リピート率を増やす代表的な手段はフォローアップメールや、配送商品へのクーポン同封などです。順を追ってみていきましょう。
フォローアップメール
貴社のシステムでは自動的に注文確定メールを送付していると思います。しかし折角できた大切な顧客との接点です、もっと有効に利用しましょう。もし注文直後のシステムメールしか送っていないのであれば、それに付け加えて経営者の貴方署名入りの感謝のメールを送ってみるのもいいでしょう。二度目の購買にさらに感謝をしてもいいですし、何ヶ月も再購入をしていないユーザーに戻る時だと知らせるのもいいでしょう。何が正攻法かという定義はありません、是非貴方の想像力を発揮してください。フォーマルにふるのもいいでしょうし、軽く冗談めかして書くのもありでしょう。重要なのは必要なクラスターに分類してそれぞれのクラスターごとにメールを送っていくことです。こちらについては非常に重要ですのて後ほど説明いたします。
同梱ダイレクトメール
先の章で未だに重要なマーケティングツールはメールマガジンであると説明しましたが、いかにファンの多いメールマガジンでも開封率は20%に達しないのが市場平均です。ところが、開封率100%のダイレクトメールがあります。それが、配送商品に同梱する折り込みチラシ的なダイレクトメールです。週品カタログや、次回の購入を促すクーポン、店舗がまだ小さい場合など、場合によっては手書きのメッセージカードなどもありでしょう。
クーポン
バーゲン慣れしたユーザーにはクーポンは非常に強力なマーケティングツールとなります、システムが対応している場合はどんどんと活用しましょう。指数が対応していない場合もクーポンコードを注文の備考欄に書くと割引など、ある程度のオペレーションは出来るのではないでしょうか。別件になりますが、このショッピングカートにお客様が自由に書ける備考欄を実装していくことは、お客様とのコミュニケーションの起点となることも多く、多くの利点があります。受注処理を自動化しているからという理由だけで、この備考欄を実装していない会社が多いのには驚きです。同様に商品ページに商品に関するお問い合わせが簡単に送れる仕組みも忘れずに実装しましょう。実店舗と違い実際に確認できないため、お問い合わせ受ける受け口を広くオープンする事は非常に重要です。
リピートクラスター設計
リピートユーザーを管理向上させるためにはクラスターの管理が必要になります。リピートユーザーのクラスター管理とは何でしょうか?ユーザーには次の8パターンあると考えそれぞれのパターンをクラスターと呼びます。今後如何なるオファーをうつ時もそれぞれのクラスター毎にオファーを変えたり反応を計測していくことにより、よりロイヤルティの高いクラスターにユーザーを誘導しようという試みです。下記がそのクラスター群になります。
初回購入者
全てのユーザーは先ずはこのクラスターから始まります。初回購入から90日以内のユーザーをここに分類し在籍期間を0とします。在籍期間とは最初の購入日か最後の購入日までの間の日数を指します。
二回目購入者
初回購入後、90以内に二回目以上の購入をしたユーザーを指します。
継続購入者
90日が経つと下記のユーザーを除きこちらのクラスターに編入されます。
バーゲン購入者
バーゲン購入者とロイヤル購入者を設定するには先ず貴社の平均単価を知る必要があります。もし貴社の平均単価が5000円であるならそれの7から10倍の閾値を設定します。ここでは仮に40000円としましょう。90日経過後の通算消費額が40000円以上であればこちらのバーゲン購入者か下記のロイヤル購入者に分類されます。即ち平均単価の7倍を使うということは平均7回の購入をしてもらっており、それは上流の顧客であろうという仮説になります。ただ、一方で単価が5000円といっても50000円の商品を扱っているかもしれませんし、非常に安い商品をまとめ買いしたかもしれません。従いここにもう一つの閾値を設定します。ここで再度在籍期間の概念を利用します。再度、在籍期間とは最初の購入日か最後の購入日までの間の日数を指します。在籍期間が210日以内のユーザーはこのバーゲン購入者に分類します。総額40000円を使ってくれたとしても何故なら、広告に釣られて一回だけ高単価の商品を買ったバーゲンハンターの可能性が高いからです。
ロイヤル購入者
逆に40000円以上を使ってくれており、在籍期間が210日以上のユーザーはロイヤル購入者に分類され、全てのユーザークラスターがこのロイヤル購入者になるようにマーケティングしていくのが貴社のマーケティングチームの仕事になります。
通常はこの4つのクラスターで十分であって欲しいのですが、どうしても戻ってこないユーザーが出てきます。やはりそれらを別管理していく必要があります。ここではもう一つ新しい定義である離脱期間という定義を利用します。離脱期間とはユーザーが最後に貴社で購入をしてから経過した日数のことを指します。8ヶ月も貴社から離れていると再度戻ってきてもらうのは困難でしょうからここでは仮に240日を閾値に設定し、最後の購入から240日以上購入のないユーザーを離脱購入者と定義します。全ての離脱購入者を一つに管理してもいいのですが、折角上記の4クラスターを管理しているので、クラスター毎に離脱購入者を管理していくことにします。これにより離脱の多いクラスターを把握することができます。
初回離脱購入者
在籍期間が0日のまま離脱期間が240日以上になった購入者。いわゆる一回ポッキリのお客様です。
二回目離脱購入者
二回目の購入をしたものの最後の購入から240日以上次の購入がないお客様。
継続離脱購入者
二回目以上の購入をし、且つ在籍期間は90日以上あるものの、最後の購入から240日以上次の購入がないお客様。
バーゲン離脱購入者
在籍期間中の総購入金額が40000円以上あり、在籍期間が90日以上210日未満であり、一時期バーゲン購入者にカテゴライスされていたが、最後の購入から240日以上次の購入がないお客様。
ロイヤル離脱購入者
在籍期間中の総購入金額が40000円以上あり、在籍期間が210日以上であり、一時期ロイヤル購入者にカテゴライスされていたが、最後の購入から240日以上次の購入がないお客様。
さて、ここまでご理解頂けたら一度貴社のユーザーを上記のクラスターに分類してみましょう。それぞれのクラスターの在籍人数と総売上額を集計してみます。いかがでしょうか?出てきた数字は貴社の思い描いていたものと同じでしょうか?通常この段階で多くの企業経営者があまりの惨状に驚かれます。しかし、今までリピートユーザークラスター管理をしていなかった企業としては当然の結果です。落胆せずに「見える化」が図られたことをポジティブに捉えより上位のクラスターに顧客がシフトしていくよう継続して努力をしていきましょう。
通常の企業ですと、初回購入者が一番多く、人数的には9割程度あるのではないでしょうか。金額的にも過半数であると思われます。これでは如何に効率よく初回購入ユーザーをマーケティングしてもお金の無駄遣いで、貴社は永遠に利益を出せないでしよう。では努力のような対策を取っていけばいいでしょうか。
先ずは全てのマーケティングオファーはこのクラスター毎に投下され、計測されていかなければなりません。メールマガジン一つをとっても、クラスター毎の配送本数、開封率、クリック率、転換率、売上をトラックしていきます。
ひと度メールマガジンのパフォーマンスのトラッキングをクラスター毎に開始してみると驚く結果が出てくると思います。即ち、未購入者>初回購入者>>ロイヤル購入者の順で開封率やクリックスルー率の上昇がみられるはずです。それだけ上位クラスターのユーザーほど貴社とのエンゲージメントが強いといえます。このパフォーマンスの乖離も貴社の担当者のよりよいクラスターへ顧客を誘導したいといういい意味での刺激になるでしょう。
ひと度計測を始めるとそれぞれのベースに違うメールを送った方がいいのではないかという事に気づくと思います。初回購入ユーザーには次の購入に繋がるオファーを、二回購入ユーザーには何か新しい発見になるようなオファーを等、いろいろな想像力を発揮してみましょう。
究極の目的はロイヤル購入者の増加
これらの努力で忘れてはならないのが、究極の目的はロイヤル購入者を増やすことです。従い、毎月それぞれのクラスターからどれだけのユーザーが次のクラスターに移ったかが重要なKPIとなります。この指標をここでは遷移率と呼びます。重要なのは3つの遷移率で、初回購入ユーザーから二回目購入者への移動を遷移率1、二回目購入者から継続購入者への移動を遷移率2、継続購入者からロイヤル購入者への移動を遷移率3とし、できれば毎週、長くても月に一回はそれら全ての遷移率の推移の分析を行います。分析といってもこの数字は過去のアクションの結果ですから、さしたる驚きはないと思います。できるだけ短い周期で経過を観察し、必要なアクションを実行していきます。遷移率の推移を観察しているとそろぞれの遷移率がまだ安定せず毎月上下に激しく変動していることが観察して取れると思います。これはまだ貴社が顧客をうまくコントロールできていない証拠です。しっかりとリピートユーザー対策をして遷移率もコントロールできるようになりましょう。比較的コントロールしやすいのが、遷移率1の母数となる初回購入者数、と初回購入者から二回目購入者への遷移率1です。先に説明した入り口商品でしっかりと新規顧客を掴みます。その努力は同時に初回購入してから買い控えをしている顧客にも響くはずです。その他創意工夫で貴社の将来を支える新規顧客と、二回目購入を継続的に増やしていきます。難しいのは2回めから3回め、3回位目からロイヤル購入者への道です。
またこの顧客クラスター管理は各クラスターにステップアップするのにどれだけの確率で何ヶ月かければ到達するかということを予言できます。予言というと大げさですが、各クラスターの平均在籍期間と、全購入者数の中の割合を出してみて下さい。例えばロイヤル購入者になるには0.5%の確率で約7.5ヶ月かかるなど、各クラスターがどのように成長していくかを予想することができます。もちろん、ごの予想は現在の統計の上になりたっているので、貴社の努力次第で将来を変えることができるのは言うまでもありません。是非より短い期間で、より多くのロイヤル購入者ができるように努力して下さい。
何故顧客はリピートするのか?
ではここで何故顧客はリピートするのかという根本的な命題を考えてみましょう。貴方の実店舗での購買経験を振り返ってみるとよく分かります。例えば洋服を購入する場合はどうでしょうか?恐らく貴方の好きなショップは既に頭のなかに2,3店舗ありそのうちのどれに行こうか、もしくはそれら全てがある駅にいこうかと考えるのではないでしょうか。その店を気に入ったのはきっとなんとなく入って買った初回の商品が自分によく合っていた、店員が感じ良かった、店の雰囲気が良かったなどいろいろな要素があると思いますが、いずれのケースも要約すると自分が払った金額以上の満足感を感じたからリピートするようになったといえます。一方でオンラインショッピングではその実店舗での経験を提供するのが非常に難しいのが実情です。それ故に綺麗に取られた写真や、リッチコンテンツの商品ページが必要になるのです。そのような努力である程度のユーザーエクスペリエンスの向上に努められるのは事実です。しかしながら、実店舗での経験に比べると非常に単純で奥行きの浅い経験であることは否めません。そのような環境で購入したユーザーは何を求めるでしょうか?買った商品が”配達”されることを期待します。当然のことですが、逆にいうと購入した商品が届くことを期待し、箱を開けて自分がイメージした商品と同じものであることを期待します。従い、商品を受け取ったという事実だけでは、期待値の100%かそれ以下にしかなりえません。実店舗で経験できる決定的な何かが欠落しているのです。
この欠落をうまく補完して急成長したのが、最終的にアマゾンに買収されたアメリカのオンラインシューズストアのザッポスです。靴の返品送料無料、365日返品可能、広大なアメリカで顧客を驚かすために翌日に配達してみたりするなど。特に1週間はかかるだろうと読んで購入した靴が翌日に届くというサプライズはいかに顧客の満足度を上げるかという良い例です。ユーザーは商品を受け取るだけでは期待値の100%かもしくはそれ以下しか満たされません。それ以上のサプライズをどのように届けるかを考え抜いた企業のみが成長し生き残るのです。
リピート率を増やす代表的な手段はフォローアップメールや、配送商品へのクーポン同封などです。順を追ってみていきましょう。
フォローアップメール
貴社のシステムでは自動的に注文確定メールを送付していると思います。しかし折角できた大切な顧客との接点です、もっと有効に利用しましょう。もし注文直後のシステムメールしか送っていないのであれば、それに付け加えて経営者の貴方署名入りの感謝のメールを送ってみるのもいいでしょう。二度目の購買にさらに感謝をしてもいいですし、何ヶ月も再購入をしていないユーザーに戻る時だと知らせるのもいいでしょう。何が正攻法かという定義はありません、是非貴方の想像力を発揮してください。フォーマルにふるのもいいでしょうし、軽く冗談めかして書くのもありでしょう。重要なのは必要なクラスターに分類してそれぞれのクラスターごとにメールを送っていくことです。こちらについては非常に重要ですのて後ほど説明いたします。
同梱ダイレクトメール
先の章で未だに重要なマーケティングツールはメールマガジンであると説明しましたが、いかにファンの多いメールマガジンでも開封率は20%に達しないのが市場平均です。ところが、開封率100%のダイレクトメールがあります。それが、配送商品に同梱する折り込みチラシ的なダイレクトメールです。週品カタログや、次回の購入を促すクーポン、店舗がまだ小さい場合など、場合によっては手書きのメッセージカードなどもありでしょう。
クーポン
バーゲン慣れしたユーザーにはクーポンは非常に強力なマーケティングツールとなります、システムが対応している場合はどんどんと活用しましょう。指数が対応していない場合もクーポンコードを注文の備考欄に書くと割引など、ある程度のオペレーションは出来るのではないでしょうか。別件になりますが、このショッピングカートにお客様が自由に書ける備考欄を実装していくことは、お客様とのコミュニケーションの起点となることも多く、多くの利点があります。受注処理を自動化しているからという理由だけで、この備考欄を実装していない会社が多いのには驚きです。同様に商品ページに商品に関するお問い合わせが簡単に送れる仕組みも忘れずに実装しましょう。実店舗と違い実際に確認できないため、お問い合わせ受ける受け口を広くオープンする事は非常に重要です。
リピートクラスター設計
リピートユーザーを管理向上させるためにはクラスターの管理が必要になります。リピートユーザーのクラスター管理とは何でしょうか?ユーザーには次の8パターンあると考えそれぞれのパターンをクラスターと呼びます。今後如何なるオファーをうつ時もそれぞれのクラスター毎にオファーを変えたり反応を計測していくことにより、よりロイヤルティの高いクラスターにユーザーを誘導しようという試みです。下記がそのクラスター群になります。
初回購入者
全てのユーザーは先ずはこのクラスターから始まります。初回購入から90日以内のユーザーをここに分類し在籍期間を0とします。在籍期間とは最初の購入日か最後の購入日までの間の日数を指します。
二回目購入者
初回購入後、90以内に二回目以上の購入をしたユーザーを指します。
継続購入者
90日が経つと下記のユーザーを除きこちらのクラスターに編入されます。
バーゲン購入者
バーゲン購入者とロイヤル購入者を設定するには先ず貴社の平均単価を知る必要があります。もし貴社の平均単価が5000円であるならそれの7から10倍の閾値を設定します。ここでは仮に40000円としましょう。90日経過後の通算消費額が40000円以上であればこちらのバーゲン購入者か下記のロイヤル購入者に分類されます。即ち平均単価の7倍を使うということは平均7回の購入をしてもらっており、それは上流の顧客であろうという仮説になります。ただ、一方で単価が5000円といっても50000円の商品を扱っているかもしれませんし、非常に安い商品をまとめ買いしたかもしれません。従いここにもう一つの閾値を設定します。ここで再度在籍期間の概念を利用します。再度、在籍期間とは最初の購入日か最後の購入日までの間の日数を指します。在籍期間が210日以内のユーザーはこのバーゲン購入者に分類します。総額40000円を使ってくれたとしても何故なら、広告に釣られて一回だけ高単価の商品を買ったバーゲンハンターの可能性が高いからです。
ロイヤル購入者
逆に40000円以上を使ってくれており、在籍期間が210日以上のユーザーはロイヤル購入者に分類され、全てのユーザークラスターがこのロイヤル購入者になるようにマーケティングしていくのが貴社のマーケティングチームの仕事になります。
通常はこの4つのクラスターで十分であって欲しいのですが、どうしても戻ってこないユーザーが出てきます。やはりそれらを別管理していく必要があります。ここではもう一つ新しい定義である離脱期間という定義を利用します。離脱期間とはユーザーが最後に貴社で購入をしてから経過した日数のことを指します。8ヶ月も貴社から離れていると再度戻ってきてもらうのは困難でしょうからここでは仮に240日を閾値に設定し、最後の購入から240日以上購入のないユーザーを離脱購入者と定義します。全ての離脱購入者を一つに管理してもいいのですが、折角上記の4クラスターを管理しているので、クラスター毎に離脱購入者を管理していくことにします。これにより離脱の多いクラスターを把握することができます。
初回離脱購入者
在籍期間が0日のまま離脱期間が240日以上になった購入者。いわゆる一回ポッキリのお客様です。
二回目離脱購入者
二回目の購入をしたものの最後の購入から240日以上次の購入がないお客様。
継続離脱購入者
二回目以上の購入をし、且つ在籍期間は90日以上あるものの、最後の購入から240日以上次の購入がないお客様。
バーゲン離脱購入者
在籍期間中の総購入金額が40000円以上あり、在籍期間が90日以上210日未満であり、一時期バーゲン購入者にカテゴライスされていたが、最後の購入から240日以上次の購入がないお客様。
ロイヤル離脱購入者
在籍期間中の総購入金額が40000円以上あり、在籍期間が210日以上であり、一時期ロイヤル購入者にカテゴライスされていたが、最後の購入から240日以上次の購入がないお客様。
さて、ここまでご理解頂けたら一度貴社のユーザーを上記のクラスターに分類してみましょう。それぞれのクラスターの在籍人数と総売上額を集計してみます。いかがでしょうか?出てきた数字は貴社の思い描いていたものと同じでしょうか?通常この段階で多くの企業経営者があまりの惨状に驚かれます。しかし、今までリピートユーザークラスター管理をしていなかった企業としては当然の結果です。落胆せずに「見える化」が図られたことをポジティブに捉えより上位のクラスターに顧客がシフトしていくよう継続して努力をしていきましょう。
通常の企業ですと、初回購入者が一番多く、人数的には9割程度あるのではないでしょうか。金額的にも過半数であると思われます。これでは如何に効率よく初回購入ユーザーをマーケティングしてもお金の無駄遣いで、貴社は永遠に利益を出せないでしよう。では努力のような対策を取っていけばいいでしょうか。
先ずは全てのマーケティングオファーはこのクラスター毎に投下され、計測されていかなければなりません。メールマガジン一つをとっても、クラスター毎の配送本数、開封率、クリック率、転換率、売上をトラックしていきます。
ひと度メールマガジンのパフォーマンスのトラッキングをクラスター毎に開始してみると驚く結果が出てくると思います。即ち、未購入者>初回購入者>>ロイヤル購入者の順で開封率やクリックスルー率の上昇がみられるはずです。それだけ上位クラスターのユーザーほど貴社とのエンゲージメントが強いといえます。このパフォーマンスの乖離も貴社の担当者のよりよいクラスターへ顧客を誘導したいといういい意味での刺激になるでしょう。
ひと度計測を始めるとそれぞれのベースに違うメールを送った方がいいのではないかという事に気づくと思います。初回購入ユーザーには次の購入に繋がるオファーを、二回購入ユーザーには何か新しい発見になるようなオファーを等、いろいろな想像力を発揮してみましょう。
究極の目的はロイヤル購入者の増加
これらの努力で忘れてはならないのが、究極の目的はロイヤル購入者を増やすことです。従い、毎月それぞれのクラスターからどれだけのユーザーが次のクラスターに移ったかが重要なKPIとなります。この指標をここでは遷移率と呼びます。重要なのは3つの遷移率で、初回購入ユーザーから二回目購入者への移動を遷移率1、二回目購入者から継続購入者への移動を遷移率2、継続購入者からロイヤル購入者への移動を遷移率3とし、できれば毎週、長くても月に一回はそれら全ての遷移率の推移の分析を行います。分析といってもこの数字は過去のアクションの結果ですから、さしたる驚きはないと思います。できるだけ短い周期で経過を観察し、必要なアクションを実行していきます。遷移率の推移を観察しているとそろぞれの遷移率がまだ安定せず毎月上下に激しく変動していることが観察して取れると思います。これはまだ貴社が顧客をうまくコントロールできていない証拠です。しっかりとリピートユーザー対策をして遷移率もコントロールできるようになりましょう。比較的コントロールしやすいのが、遷移率1の母数となる初回購入者数、と初回購入者から二回目購入者への遷移率1です。先に説明した入り口商品でしっかりと新規顧客を掴みます。その努力は同時に初回購入してから買い控えをしている顧客にも響くはずです。その他創意工夫で貴社の将来を支える新規顧客と、二回目購入を継続的に増やしていきます。難しいのは2回めから3回め、3回位目からロイヤル購入者への道です。
またこの顧客クラスター管理は各クラスターにステップアップするのにどれだけの確率で何ヶ月かければ到達するかということを予言できます。予言というと大げさですが、各クラスターの平均在籍期間と、全購入者数の中の割合を出してみて下さい。例えばロイヤル購入者になるには0.5%の確率で約7.5ヶ月かかるなど、各クラスターがどのように成長していくかを予想することができます。もちろん、ごの予想は現在の統計の上になりたっているので、貴社の努力次第で将来を変えることができるのは言うまでもありません。是非より短い期間で、より多くのロイヤル購入者ができるように努力して下さい。
何故顧客はリピートするのか?
ではここで何故顧客はリピートするのかという根本的な命題を考えてみましょう。貴方の実店舗での購買経験を振り返ってみるとよく分かります。例えば洋服を購入する場合はどうでしょうか?恐らく貴方の好きなショップは既に頭のなかに2,3店舗ありそのうちのどれに行こうか、もしくはそれら全てがある駅にいこうかと考えるのではないでしょうか。その店を気に入ったのはきっとなんとなく入って買った初回の商品が自分によく合っていた、店員が感じ良かった、店の雰囲気が良かったなどいろいろな要素があると思いますが、いずれのケースも要約すると自分が払った金額以上の満足感を感じたからリピートするようになったといえます。一方でオンラインショッピングではその実店舗での経験を提供するのが非常に難しいのが実情です。それ故に綺麗に取られた写真や、リッチコンテンツの商品ページが必要になるのです。そのような努力である程度のユーザーエクスペリエンスの向上に努められるのは事実です。しかしながら、実店舗での経験に比べると非常に単純で奥行きの浅い経験であることは否めません。そのような環境で購入したユーザーは何を求めるでしょうか?買った商品が”配達”されることを期待します。当然のことですが、逆にいうと購入した商品が届くことを期待し、箱を開けて自分がイメージした商品と同じものであることを期待します。従い、商品を受け取ったという事実だけでは、期待値の100%かそれ以下にしかなりえません。実店舗で経験できる決定的な何かが欠落しているのです。
この欠落をうまく補完して急成長したのが、最終的にアマゾンに買収されたアメリカのオンラインシューズストアのザッポスです。靴の返品送料無料、365日返品可能、広大なアメリカで顧客を驚かすために翌日に配達してみたりするなど。特に1週間はかかるだろうと読んで購入した靴が翌日に届くというサプライズはいかに顧客の満足度を上げるかという良い例です。ユーザーは商品を受け取るだけでは期待値の100%かもしくはそれ以下しか満たされません。それ以上のサプライズをどのように届けるかを考え抜いた企業のみが成長し生き残るのです。