[KRIとKPIの違い]
しばしワークショップの質問時間に、「KRIとKPIの違いは何か?」という質問を受けます。
車のスピードメーターはRI(Result Indicator 結果指標)とPI(Performance Indicator 業績評価指標)の違いは何かを明確に教えてくれる例となります。車が走っているスピードはスピード自体が、どのギヤとどの車重と、どのガソリンなどという複数の変動要素からできているためRIとなります。PIの例としてはどれほど経済的に車が巡航しているか、エンジンがどれほどの温度を保っているかなどというものが考えられるでしょう。
多くのマネジメントに関する書籍はKPIをリード(将来見込み)とラグ(過去)によって説明しようとしています。しかし航空会社の例をとってみるまでもなく、定時発着率というKPIは、過去のことも示しますし、それにより生み出される問題のことも示します。従い、リードとラグという見方でKPIを捉えることは適切ではないといえます。
KRIとRIは結果を計測する指標です。KRIの多くは月次や、四半期毎に管理され、RIはより短い期間、例えば昨日の売上などという形で管理されます。PIとKPIは、下記、現在、未来を計測するための指標となります。現在指標とは24時間毎日計測される指標のことを指します。未来指標とはアクションが実行されるための未来に対するコミットメントの指標のことを指し、例えば次の重要顧客との会合の日時などを指します。貴社の中のKPIもこの現在か将来かという軸で分類することが可能です。ワークショップで私は参加者にいくつかの重要指標をリストアップしてもらいます。そしてそれぞれの時制に分類してもらいます。
多くの組織でその習慣を変えるためには、将来どのようなアクションが取られるかが明確に計測されなければなりません。将来指標の例は下記のようなものを含みます。
1.インターネット関連企業でイノベーティブな組織になるためには、各取り組みの数を計測する必要があります。どれだけの取り組みが明日、次の週、来月オンラインになるのかを計測することが重要です。
2.売上を増加させるためには、既に実行されたか明日、来週、来月にスケジュールされた顧客とのミーティング数を計測する必要があります。
3,重要顧客との親密な関係を継続するためには、顧客と合意した次のソーシャルな会合(会食、スポーツなど)がリストアップされている必要があります。
4.CEOのプロフィールの質を維持するためには、PR(パブリックリレーション)とそのイベントが先立ってスケジュールされている必要があります。
これらの将来指標は週次ベースでCEOにレポートされるべきです。CEOは数週間目標と乖離があるのを黙っているかもしれませんが、すぐにその目標との乖離は何故おきているのかを質問し始めるでしょう。そうすることでマネージャーは次の週までに将来のCEOからの居心地の悪い質問を再度されないように何らかの対策を講じようとするはずです。このモチベーションこそがKPI管理の原動力となります。