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2012年7月25日水曜日

開発部でのKPI選択

毎日徹底という意味では編成部と1,2を争う個性派軍団の開発部。きっとさしたる進捗もないだろうという憂鬱な気持ちを持ちながら草薙は開発部を訪ねた。
「田中部長、おはようございます。その後KPIの導入の方はどうですか?」
「ああ、草薙さん、おはようございます。丁度相談しようと思っていたところです。」
「はあ、といいますと?」
「いや、結局開発部でのKPIというのは難しく時間を記録はしているものの、どうしていいものやら」
「そうですか。以前もお伝えしましたが、先ずは時間を記録すること、その上でその時間が生産活動に利用されているかという指標を設けてみてはどうでしょうか?」
「例えば、会議や資料作成などの間接業務と、コーディングや仕様書作成などの直接業務とに分けてみるとか。そうすることで日々生産性が上がっているかを確認することができます。」
「なるほど、確かにそれは良い案ですね。」
田中はできるかなという顔をしながら頷いた。

この開発部のように、直接的にビジネスのアウトプット指標を左右しない部署のKPI管理は非常に難しいものがあります。今回のケースのように生産性を測るのもひとつの手ですが、人数が少ない場合はむしろ管理しないという選択肢も検討してみましょう。是が非でも計測することが目的ではなく、あくまでも結果数値の向上が目標ですので、必要なものを会社の体力に合わせて取捨選択していきましょう。

また、同時に開発をしなければ向上しないサイトの指標を開発部が追うというのはかんげるべき選択肢です。明日は、そちらについて検討してみます。

2012年7月18日水曜日

編成部の進捗状況

次に草薙は編成部を尋ねた。
「脇坂さん、お疲れ様です。KPIの方はいかがですか?」
「ああどうもどうも、草薙さん。丁度探していたところですよ。」
「どうされました?」
「いや、先日の経営会議でとのかくトラックを開始しろと言われたのでいろいろ考えてみたのですが、どうもしっくりとしたKPIが見つからなくてですね、、実はまだ計測を開始していないのですよ・・。」少々バツが悪そうに話すのを聞き流しながら草薙は答えた。
「脇坂さん、でも分からないとはどういうことですか?ウェブの基本であるページビューや、ビジターといったものから計測を開始すればいいのではないですか?」
「そうなんですけど、草薙さん。トラフィックはマーケティング部が持ってくるか来ないかで大きく結果も変わりますよね。それを編成部だけで見ろと言われてもメンバーが腹落ちしないのですよ。」
「なるほど、でもそういった結果KPIの最たるものはどこが計測しても一緒じゃないですか?先ずは無料トラフィックを編成部、有料トラフィックをマーケティング等に分けてみればいいのではないですか?その上で編成部自身がコントロールできる数字をトラックしていけばいいと思います。」
「例えば、離脱率とか、次のページのクリックスルーとか。最終的には流通なのですが、流通は販売部が追うのでその売り上げの更正要素をトラックするのがいいでしょう。」

結局のところ、現場が理解でき、努力できる範囲のKPIを設定し毎日見る癖を持ってもらうことが重要というのはどの部署でも変わりません。

編成部が行なっているか、マーケティング部が行なっているか会社によって違うかもしれませんが、オンラインショッピングの場合、メールマガジンマーケティングを行なっているとおもいます。これらでどれだけのトラフィックを持ってき、どれだけの流通を上がられるかもしっかりとトラックすべきKPIとなるでしょう。

2012年7月17日火曜日

マーケティング部のKPI決定

「浅井部長こんにちは、その後KPIの方はいかがですか?」
「先週丁度ROIが75%になったところです。効果はでてますね」
「本当ですか、凄いですね!KPIシートを見せてもらえますか?」
「もちろんです。」と、見せてもらったシートをみて草薙は顔が曇ったことがバレないように、「なるほど、なかなかの進捗ですね更に頑張りましょう。」といいながらシートの改善点を探した。
先ずは前組織例外なくトラッキングを開始することが重要ですので、少々数字が悪い等はこの際目をつむります。

マーケティング系で重要なのは、各マーケティングチャンネル毎のパフォーマンスをしっかりと把握することです。金額が大きいだけに大きなKPIだけを追っていては中で何が起こっているか分かりません。特にオンラインショッピングでは最小のコストで最大の売上を作ることがマーケティングの目的となります。そして残念ながら往々にして、マーケティング費用を得られた利益から差し引くと赤字になります。すなわち、マーケティングをしなければ赤字にはなりませんが、全体のモーメンタムを作ることができません。いかに少ない投資で最大限の売上を上がるかに注力するためにも、マーケティングのKPIは重要となります。

参考まで一般的にマーケティング部門では、チャンネル毎に、投資額、コスト、クリック数、コストパークリック、注文件数、転換率、売上、コストパー売上をモニターしていきます。

オンラインショッピングでの重要な指標は有料のトラフィックで得られた売上と、無料のトラフィックで得られた売上の比率となります。KPIをモニターしながら立ち上げ当初は有料トラフィックで売上を上げるものの、徐々に無料トラフィックにシフトしていく戦略を立てましょう。

2012年7月4日水曜日

営業部のKPI決定 2

草薙の提案のように、各個人がひっそりとKPIをトラックするのではなく、全社行事として公開してトラックすることで全社の意識レベルが上がります。営業部のKPI管理は地道にコール件数、コンタクト件数等のプロセスKPIのトラックと、業務リードタイムの短縮化、見込み管理の徹底の3つのメソッドで改善していくことが可能です。注意しないといけないのは、コール件数だけではなくコールのクオリティをチェックしなければ特に若い営業マンは電話の件数を増やすことだけに注力をし本質を失いがちになります。

よって営業部の業績向上には先ずマネージャー自信がこの基本を理解し各指標とプロセスの見える化を率先して推進することが重要となります。日報の仕組みの一つとして各営業担当の数字が吸い上げられる仕組みを作ることまではどこの会社もできていますが、それを全社行事として意識向上を図れている会社は少ないのが実情です。意識レベルを上げるためには、ホワイトボードや壁に張り出すことや、各担当の横並びの情報が俯瞰できるような日報を作成し、印刷して配る、毎朝MTGをして数字の確認をする、目標達成者がでる毎に盛大に祝う等、多数の原始的な方法もあります。CRMで効率的に管理できるのは確かですが、この全社レベルの意識アップには何らかの儀式的な手法が有用なことをコツとして心がけると、KPI管理の意識、精度が飛躍的に上がるでしょう。

2012年6月29日金曜日

営業部のKPI決定 1

実際に数字のトラックが始まった翌週、草薙と香川は営業部を尋ねた。
「大川さん、お久しぶりです。」
「ああ草薙さん、何かいろいろ壁に張り出されましたな。」
そう何事も見える化がを徹底し、従業員の意識を徹底することが重要です。
「本日は先日お伺いした業務フローをまとめたものと改善案をお持ちしました。」
「ほう、それは楽しみですな。」
「では早速香川の方から説明させます。」
「はい、大川さん、こちらが現行の業務フローとなり、営業のクローズまで平均で25営業日かかっています。ここの口頭合意から最終的な必要書類回収までの時間を短縮すれば15営業日でクローズすることが可能ではないかと考えております。」
「ほほう、それは目出度い、そんな簡単にリードタイムを短縮できるのなら是非採用したいね。」
「はい、こちらでオンライン登録と同時に必要書類のトラッキングを開始すれば十分可能と思われます。」
「香川君、簡単にオンライン登録とかいうけどね、それはもう1年も前に弁護士と相談して正式契約書にすることを勧められているんだよ。」
このように自身の保身のためにああ言えばこう言うという問答が続くと思われます。ただ大事なのはリードタイムを短縮すれば生産性が上がり、全新規顧客獲得件数が上がることを認識してもらうことです。粘り強く行きましょう。

ちょっとした議論の後、香川が続ける。
「大川さん、次に必要なのが各営業担当の平均的な時間ごとの業務内容です。先日1日営業の平田さんの横に座らして頂き、平田さんの一日の業務状況を調査させていただきました。結果、有効コール数が40件、有効コールの全ての合計通話時間は4.5時間でした。」
「それで?」大川は明らかに領海侵犯だというような不快そうな顔で返答した。
「いえ、本日は今後この有効コール件数と、総合通話時間をKPIにしたらどうかというご提案をしに来ました。」
草薙はすかさず、「またそれとは別にこれらの数字を壁に張り出し、今月の見込みを毎日変更させていくクセ付けをする必要があります。張り出す際に従業員ごとの競争を促すために各人毎の成績を見せるのがいいでしょう。」

2012年6月27日水曜日

実行力が重要

現在の業務フローとあるべき姿の業務フローができたらあとはKPIをトラックして目標に向かって進むのみです。必要なのは先ずはKPIシート、そして毎日徹底して入力することです。

「香川君、いろいろ情報もあつまったので来週の月曜からKPIのトラッキングを始めよう。」
「え?でも草薙さんまだどの部署ともKPIの合意が取れていませんよ?」
「いいんだよ、そんなの。オンラインショッピングをやっていたらどこもKPIなんて一緒だろ?」
「え、まあそうですが、、」と、香川は意外と草薙は強引な人間かもしれないと思いながら頷いた。
「誤解をされると嫌なのでもう少しだけ説明しておくと、基本のKPIがあって、それはもう会社で決まっていると思うんだな。それをいかに現場が徹底するかが成否の分かれ目だと思うんだ。なので、先ずは代表的なKPI管理を始める傍ら、各部署の詳細KPIを合意していけばいい。」
「なるほど了解しました。」

草薙は上機嫌に、「ではうちの利益は売上-仕入原価なのでその売り上げをどう作るかから書いていくと、先ずはトラフィックを呼んで来ないといけないので、訪問者、そして彼らのコンバージョン率、それと彼らの単価、これが基本となる。なので、マーケティング部門はこの訪問者に責任があり、それぞれ有料、無料の訪問者をトラックすることが基本でしょ。」
「はい」
「コンバージョン率は非常に難しいね。これは全部署が協力しないと達成できない。従い、それぞれ良いディールを作るという意味で、購買部、またよいページを作るという意味で編成部。また、お買い物カゴでのドロップを最低限にするという意味でも開発部も関わってくるだろう。」
草薙は続ける、「購買単価に関しても編成のお勧め的ナビゲーションと、開発の買いまわりしやすさも入ってくるので複数部署が担当となる。」
「これだけだと全く各部署がアクションをとってコントロールできませんよね?」
「そう、なのでもっと明確なコントロールできるKPIを各部署に設定するわけだ。マーケティング部には更には会員数を明確に追わせるべきだろうし、ユーザーのリピート率も必須となる。編成部は、自分で努力ができるキャンペーン数や、キャンペーンページのクリックスルーなどがいいだろう。営業はもちろん、獲得サプライヤー数だが、それに至るコール数と、それぞれのステータスの見込数だろう。」

「でもね、香川くんこんなことはさして重要ではないんだよ。重要なのはこれらを決めた後に、各担当が毎日入力すること、その数字を見て毎朝全員が知恵を出して話し合うことが重要なんだ。」

この会話の通り、先ずはKPIを設定して計測を開始すること。開始した後は毎日欠かさずトラックをする環境を作り、皆が数字を向上させる方法を考える習慣をつけること、これが一番重要な要素となります。

2012年6月25日月曜日

KPIツリーの導入

香川が業務フロー作成に精を出している間、草薙は次のステップを考えていた。やはりこの会社はKPI導入の概念の浸透が浅くまだまだ改善の余地がありそうである。
「香川くん」
「はい草薙さん」
「業務フローで忙しいと思うのだがもう一つ進めよう。この会社のKPIツリーを作ろう」
「KPIツリーですか?」
「そう、この会社の売上がどのように構成されているのかを分解するんだ」
「はぃ。。。」
あまりピンときていない香川を尻目に草薙はホワイトボードに「売上=」と書き始めた。
「売上は何で構成されているんだっけ?」と草薙。
「はい、オンラインショッピングの公式ですから、売上=アクセス人数x転換率x客単価ですよね?」
「そうだ。そこから先、どのように分解できるかが重要なんだ」
草薙は続ける
「例えば、アクセス人数にはお金を掛けて呼んだ有料トラフィックと、自然にやってきたトラフィック無料トラフィックの2種類があるじゃない?転換率はそれぞれのトラフィックソースによって違うかもしれない。もちろん客単価もだ。更に言えば商品数やサプライヤー数、キャンペーン数やイベントページ数、価格の競合優位数などもあげられるかもしれなし。それらを全てコントロールできた時に売上が上がるチャンスがある。KPIは決して売上が上がることを保証しないが、これらの数字がきちんとトラックできる限りおいて非常に有用なツールとなるんだよ」
「なるほど、ではまずこれを全社員に理解してむらう必要がありますね」

KPI管理の基礎となるこのKPIツリーについては経営陣で徹底的に協議し、全従業員が理解するようにしていく必要があります。一旦KPIツリーができれば、それを壁に張り出すなどし全従業員の意識の徹底をするとより効果的です。