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2012年6月29日金曜日

営業部のKPI決定 1

実際に数字のトラックが始まった翌週、草薙と香川は営業部を尋ねた。
「大川さん、お久しぶりです。」
「ああ草薙さん、何かいろいろ壁に張り出されましたな。」
そう何事も見える化がを徹底し、従業員の意識を徹底することが重要です。
「本日は先日お伺いした業務フローをまとめたものと改善案をお持ちしました。」
「ほう、それは楽しみですな。」
「では早速香川の方から説明させます。」
「はい、大川さん、こちらが現行の業務フローとなり、営業のクローズまで平均で25営業日かかっています。ここの口頭合意から最終的な必要書類回収までの時間を短縮すれば15営業日でクローズすることが可能ではないかと考えております。」
「ほほう、それは目出度い、そんな簡単にリードタイムを短縮できるのなら是非採用したいね。」
「はい、こちらでオンライン登録と同時に必要書類のトラッキングを開始すれば十分可能と思われます。」
「香川君、簡単にオンライン登録とかいうけどね、それはもう1年も前に弁護士と相談して正式契約書にすることを勧められているんだよ。」
このように自身の保身のためにああ言えばこう言うという問答が続くと思われます。ただ大事なのはリードタイムを短縮すれば生産性が上がり、全新規顧客獲得件数が上がることを認識してもらうことです。粘り強く行きましょう。

ちょっとした議論の後、香川が続ける。
「大川さん、次に必要なのが各営業担当の平均的な時間ごとの業務内容です。先日1日営業の平田さんの横に座らして頂き、平田さんの一日の業務状況を調査させていただきました。結果、有効コール数が40件、有効コールの全ての合計通話時間は4.5時間でした。」
「それで?」大川は明らかに領海侵犯だというような不快そうな顔で返答した。
「いえ、本日は今後この有効コール件数と、総合通話時間をKPIにしたらどうかというご提案をしに来ました。」
草薙はすかさず、「またそれとは別にこれらの数字を壁に張り出し、今月の見込みを毎日変更させていくクセ付けをする必要があります。張り出す際に従業員ごとの競争を促すために各人毎の成績を見せるのがいいでしょう。」

2012年6月27日水曜日

実行力が重要

現在の業務フローとあるべき姿の業務フローができたらあとはKPIをトラックして目標に向かって進むのみです。必要なのは先ずはKPIシート、そして毎日徹底して入力することです。

「香川君、いろいろ情報もあつまったので来週の月曜からKPIのトラッキングを始めよう。」
「え?でも草薙さんまだどの部署ともKPIの合意が取れていませんよ?」
「いいんだよ、そんなの。オンラインショッピングをやっていたらどこもKPIなんて一緒だろ?」
「え、まあそうですが、、」と、香川は意外と草薙は強引な人間かもしれないと思いながら頷いた。
「誤解をされると嫌なのでもう少しだけ説明しておくと、基本のKPIがあって、それはもう会社で決まっていると思うんだな。それをいかに現場が徹底するかが成否の分かれ目だと思うんだ。なので、先ずは代表的なKPI管理を始める傍ら、各部署の詳細KPIを合意していけばいい。」
「なるほど了解しました。」

草薙は上機嫌に、「ではうちの利益は売上-仕入原価なのでその売り上げをどう作るかから書いていくと、先ずはトラフィックを呼んで来ないといけないので、訪問者、そして彼らのコンバージョン率、それと彼らの単価、これが基本となる。なので、マーケティング部門はこの訪問者に責任があり、それぞれ有料、無料の訪問者をトラックすることが基本でしょ。」
「はい」
「コンバージョン率は非常に難しいね。これは全部署が協力しないと達成できない。従い、それぞれ良いディールを作るという意味で、購買部、またよいページを作るという意味で編成部。また、お買い物カゴでのドロップを最低限にするという意味でも開発部も関わってくるだろう。」
草薙は続ける、「購買単価に関しても編成のお勧め的ナビゲーションと、開発の買いまわりしやすさも入ってくるので複数部署が担当となる。」
「これだけだと全く各部署がアクションをとってコントロールできませんよね?」
「そう、なのでもっと明確なコントロールできるKPIを各部署に設定するわけだ。マーケティング部には更には会員数を明確に追わせるべきだろうし、ユーザーのリピート率も必須となる。編成部は、自分で努力ができるキャンペーン数や、キャンペーンページのクリックスルーなどがいいだろう。営業はもちろん、獲得サプライヤー数だが、それに至るコール数と、それぞれのステータスの見込数だろう。」

「でもね、香川くんこんなことはさして重要ではないんだよ。重要なのはこれらを決めた後に、各担当が毎日入力すること、その数字を見て毎朝全員が知恵を出して話し合うことが重要なんだ。」

この会話の通り、先ずはKPIを設定して計測を開始すること。開始した後は毎日欠かさずトラックをする環境を作り、皆が数字を向上させる方法を考える習慣をつけること、これが一番重要な要素となります。

2012年6月25日月曜日

KPIツリーの導入

香川が業務フロー作成に精を出している間、草薙は次のステップを考えていた。やはりこの会社はKPI導入の概念の浸透が浅くまだまだ改善の余地がありそうである。
「香川くん」
「はい草薙さん」
「業務フローで忙しいと思うのだがもう一つ進めよう。この会社のKPIツリーを作ろう」
「KPIツリーですか?」
「そう、この会社の売上がどのように構成されているのかを分解するんだ」
「はぃ。。。」
あまりピンときていない香川を尻目に草薙はホワイトボードに「売上=」と書き始めた。
「売上は何で構成されているんだっけ?」と草薙。
「はい、オンラインショッピングの公式ですから、売上=アクセス人数x転換率x客単価ですよね?」
「そうだ。そこから先、どのように分解できるかが重要なんだ」
草薙は続ける
「例えば、アクセス人数にはお金を掛けて呼んだ有料トラフィックと、自然にやってきたトラフィック無料トラフィックの2種類があるじゃない?転換率はそれぞれのトラフィックソースによって違うかもしれない。もちろん客単価もだ。更に言えば商品数やサプライヤー数、キャンペーン数やイベントページ数、価格の競合優位数などもあげられるかもしれなし。それらを全てコントロールできた時に売上が上がるチャンスがある。KPIは決して売上が上がることを保証しないが、これらの数字がきちんとトラックできる限りおいて非常に有用なツールとなるんだよ」
「なるほど、ではまずこれを全社員に理解してむらう必要がありますね」

KPI管理の基礎となるこのKPIツリーについては経営陣で徹底的に協議し、全従業員が理解するようにしていく必要があります。一旦KPIツリーができれば、それを壁に張り出すなどし全従業員の意識の徹底をするとより効果的です。

2012年6月22日金曜日

ヒアリング総括と業務フロー

主要部署とのヒアリングが終わり草薙は香川と総括ミーティングを実施した。
「どう思う香川くん?」
「そうですね、全体にKPI管理が浸透しているようには見えませんでしたね」
「まあ、それは彼らにとっても初めてだから仕方ないよね」
「一番改善しやすそうなのはどこだと思う?」
「そうですね、見込み管理とデイリーミーティングをしていない営業でしょうか?」
「あとはKPIを追っていない編成チームkも良さ気に感じました」
「マーケティングは数字の見える化はできても改善できるかが分からないのと、開発はも同じですね。」
「その通りだね」と草薙は頷きながら香川は結構使えるのではないかと思い始めた。
「大事なのはまだ皆んながKPIが新しいと思っている間に成果の出やすいところで成果を出しすんて、全社員に注目してもらうことだね。最初は絶対に成果を出さないといけない。」「はい」と香川。
「ではゴールは営業の見込み管理が出来るようにするのと、日々その数字が全員に見えるように貼りだし、それを囲んで朝のショートミーティングをすること、結果としてそれらの合理化に伴い生産性を上げてクロージングまでのリードタイムを短縮することとしよう。先ずは手土産が必要だな。」
すかさず「それが業務フローということですね」と香川が続ける。
「その通り、じゃあ悪いけど営業部と話しながら現在の業務フローを作成してもらえる?」
「はい、業務フローですね。草薙さんすみません、実は作ったことがなく何かのひな形か何かを頂けると助かるのですが」
「ないねぇ、、前職では持ってたんだけどさすがにもってはこれないしさ。ネットで調べたら出てくるよ。でも基本はY軸に登場人物、X軸に時系列として、左から右にモノと情報とお金の流れを書いていけば大丈夫だよ」
「あ、はい、モノと情報とお金ですね。。」

こうして香川の業務フローとの奮闘が始まった。

「システム開発も結局この業務の定義が重要となるんだ。なのでしっかり勉強しといてね。」

「あ、はい。。」とシステム開発経験などない香川は首をかしげながら頷いた。
業務改善には先ずは現状の業務フローの確定とが重要。しっかり準備をしていきましょう。

2012年6月19日火曜日

開発部ヒアリング

続いて開発部の田中部長を訪問した。
「田中部長、お疲れ様です。早速なのですが開発部のKPIがあるのかないのかも含めてどのような状況か教えてもらえますでしょうか?」
「草薙さん、言うのは簡単なのですがなかなか開発では思うようにいかないのですよ。メンバーは夜遅くまで頑張っているのですがなかなか追いつかずに最近は納期に遅れることもしばしばあります。社長には人員増加をいつも相談して入るのですがなかなか許可がおりません。本日は逆にどのように管理したらいいかお知恵を拝借しようと思っていたのですが。」
「なるほど、ただ開発部ですので当然ガントチャート等はお使いなわけですよね?」
「ええそれはもちろん。こちらです。日々の業務はこれで管理しておりますが各エンジニアのKPIとなると管理ができていないというか、何を設定したらいいか分からないというのが本音ですね」
「なるほど、実は開発部の生産性をKPI管理だけであげようとするのはどこの会社でも少々厳しいというのが本音なのですよ」
「そうなのですね、それを聞いて安心しました」
「ただ、とはいえ全ての基本は各人の活動単位がわかっていることです」
「はあ・・」
「自分達が何に工数を使っているかがわかって初めて、本当の意味での必要リソースの過不足が分かるのです。従い、先ずは日々どの作業にどれくらいの時間を使っているのかを明確にするところからかと思います。」
「それはガントチャートで管理していることになっているのですが、なかなか実績を入力しないメンバーも多くて」
「そこですよ、田中さん。ビジネスサイドも開発サイドも基本は同じだと思うのです。結局は現場が徹底してやり切ることがKPI管理の基本だと思いますし、勝ち続ける唯一の姿勢だと思います。」

初回のミーティングにしては熱弁しすぎたと後悔しながら、草薙は田中にお礼をいい自席に戻った。

「さあ明日から具体的な改善策を考えていこう」と決意し帰途についた。

2012年6月18日月曜日

編成部ヒアリング

つづいて草薙は編成部の脇坂部長を訪問した。
「脇坂さん、KPI担当のオペレーション室の草薙です。本日はお時間ありがとうございます。」
「草薙さんこちらことお待ちしておりました。」
「さっそくですが編成部のKPIについて教えて頂きたいのですが。」
「もちろんです。編成部では社長の指示でビジター数とページビューを追っています。ただ正直なところビジター、ページビューともにいかにマーケ部がトラフィックを送ってくるかにかかっているんですよね。なので正直なところあまり力を入れてトラックしていません。何かアドバイスがあれば是非お聞きしたいと思っていたところです。」

草薙はまた内心にやりとしながら平静を装い、「もちろんです。」と答えた。
「脇坂さん、別件ですが編成チームの生産性はどう見られていますか?」
「みんなスキルが高いいいチームですよ。ただ問題はいろいろなチームからいろいろなリクエストが来るので慢性リソース不足ですね。なかなか納期通りに納品できません。一層のことキャンペーンの数を減らすべきだと思っています。」

この編成部の事例では最もよくありがちな誰かがやれと言ったのでやっているが、どうも自分はしっくりこないという例です。そして編成部でよくありがちなのが美的ディテールにはこだわるが、売上にはこだわらないという態度です。オンラインショッピングをやっている限り、デザイン大賞を狙うのではなく、いかに売れるページを作るかに専念すべきです。KPIは設定の仕方によりそうした意識改革もサポートすることができます。また本件の場合は、何か知らないが忙しいという状況ですので、同時に業務フローの見える化を通して、編成部全体の生産性アップに貢献できる可能性も非常に大きいと考えられます。KPIマネジメントとは単に数字をトラックするというものではなく、現場の見える化を通しての業務改善と社員の意識改革が伴うものです。その点を忘れずに推進をして行きましょう。

2012年6月14日木曜日

マーケティング部ヒアリング

日を改めて草薙はマーケティング部長の浅井部長と対面しました。
「草薙さん、いろいろと噂は聞いていますよKPIは私の大好きな管理指標でして、できることなら何でも協力しますから言って下さいね」

草薙はこの下手に出る浅井を警戒しながら話を始める。
「浅井さん、こちらこそよろしくお願い致します。今大好きとおっしゃいましたが、ではすでにマーケティング部のKPIは設定されているということでしょうか?」
「あたりまえですよ、こちらです」
と、浅井は自分のパソコンをスクリーンに投影しながらGoogle Adwordsにログインをした。
「今やっていることは、CPCを20円以下に設定し、限られた予算でなるべくクリック数をあげることです。同時にROIの目標を10%に設定しており、日々それを目指してチューニングしています。」
「なるほど、コンバージョンレートは見ていますか?」
「見ているけど主要な指標とはしてないですね。コンバージョンは購買サイドの商品への目利きや値段に左右されますからね」
草薙は議論をしかけたいところをぐっとこらえて次の質問に移った。
「Google以外はどうですか?」
「価格比較サイトやアフィリエイトをしていますが大した金額を投入していないのでクリック数とROI以外は見ていないですね」
「全体には月いくらの予算を使っていますか?」
「月によりますが6000万円くらいでしょうか?」
「そのうちGoogleにはいくらつかっていますか?」
「先月で2000万円くらいですかね」
大きいとはいえ全予算の3分の1しか使っていないGoogleしか管理していない、またしていといってもGoogle Adwordsのコンソールを見ているだけのこのマーケティング部長はきな臭いとと思いながら話を円満に終わらせ草薙は退室しました。

マーケティング部隊は効果が出てもでなくても予算がつき、また効果の出し方が非常に分かりづらいだけに、往々にして本ケースのように権限を誇示するが、自部署についている予算金額を守りたいがために自己正当化しがちな責任者が多いようです。こういう人達には自尊心を傷つけないよう見える化をしながら外堀を埋めていく必要があります。