ビジネスを加速せよ

この激しい競争時代を勝ち抜くには己を知ること、管理できること

KPIツールの決定版KPI Master2

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三種の神器を使いこなせ

業績アップの三種の神器KPIシート、業務フロー、アクションリストを使いこなすこと

改善サイクルと実行力が勝負を決める

今日他社よりも早く改善をできるかが明日の勝負を決める

情報は共有されているか

いくら苦労をしてアップデートしているKPIシートも共有されていないと意味はない、貴社では全従業員に情報アクセスを提供しているか

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2012年6月13日水曜日

各部署ヒアリング

草薙は現場主義を学んできたため、当然最初のステップは現場のヒアリングとなります。組織図全体を見渡して最も手をつけやすいのが営業部、また最も数値管理が進んでいるべき部署がマーケティング部と判断しました。

営業 大川部長とのミーティング
「大川さん、初めまして草薙です。KPI推進担当となりましたので今後共よろしくお願いします。」
「ふぅん、KPIね。まった新社長は現場も知らずにアメリカかぶれした思想ばっかり持ち込んで困った人だね。で、何を手伝えばいいの?」
「先ずは大川さんの部署での営業成績の管理について教えていただきたく。」

このようにいかに社長直下といえ、概ねKPI担当に対しては各部署の責任者の口調は冷たいものになります。この程度の抵抗にあって戸惑っているようではKPI担当は務まりません。意にかけずどんどんと要件を推進します。

「うちは40人の部隊で各営業マンが月10件の新規サプライヤーを探してくることがノルマとなっている。なんでもいいというわけではない。コマースフロンティアの選定基準に合致した選りすぐりのサプライヤーを獲得してくる義務がある。」
「なるほど、どのように管理されていますか?」
「今度営業会議に出てもらえば分かるが、40人が各5チームに別れており、それぞれのチームリーダーが数字の進捗とパイプラインを報告することになっている。そこで遅れているチームがあればはっぱをかけてリカバリーさせるということだよ」
「日々の管理はどうされていますか?」
「各リーダーが自身の裁量で部下をマネージしておる」

なるほど、と頷きながら草薙は内心ニヤリと笑いました。通常の会社ではこの週1回の営業会議が基本となりそれ以下のレベルまだ管理できていないことがほとんどだからです。また、進捗とパイプラインの管理はできていますが、着地見込みの管理ができている会社が意外と少ないと見受けられます。そういう意味で草薙は早くも改善の余地があると判断したわけです。

草薙は続ける「全体の達成率はどのような推移ですか?」
「最近は競業状況も激しく苦戦しておる。ここ5ヶ月は未達成で達成率が70%程度となっている。」
「なるほどそれは由々しき状態ですね」
「はっはっは、言うのは簡単だよ、何なら草薙君、君がやってみたまえ。」
草薙は受け答えせず続ける「電話件数等は管理していますか?」
「基本は社内にいるなと指導している、社内にいる間は受話器をガムテープでくくりつけとけと言っておる。まぁ典型的な営業部だな。がっはっは。」

草薙はこのミーティングで営業部の業務フローの作成支援を快諾してもらい、それが第一歩と言いながら次の行動に向け、電話件数と、会話時間管理、獲得見込み管理、リード数管理とリード数増加に向けた取り組みを改善点としてメモをして弦巻社長に報告した。

2012年6月12日火曜日

新連載 草薙のKPI導入記

本日からストーリー仕立てでKPI担当の直面する課題を個別に見ていきましょう。

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コマースフロンティア社は日本を代表するオンラインショッピング会社です。以前アメリカのビジネススクールに留学したことのある新社長弦巻直々の号令でKPIマネジメントが導入されることとなりました。弦巻社長は社長直下にオペレーション室を設置、前職での経験を買われ中途採用ながらこのオペレーション室初代室長に選ばれた草薙室長。着任早々新人担当の香川と二人三脚で現場との格闘が始まります。

初日
「香川君、先ずはコマースフロンティアの組織がどのような構造になっているのか組織図をもらえる?」
「はい草薙さん、当社の組織はこのようになっています」

※組織図を提示

「社長直下に各部署が並列しています。先ずはマーケティング部、ここではブランディングとパフォーマンス・マーケティングの両方を担当しています。次に当社は当然オンラインリテールですので、サプライヤーから商品を買い付ける購買部、そのサプライヤーを探してくる営業部、サイトを作る編成部、消費者からの問い合わせを受けるユーザーサービス部、開発全般を実施している開発部となっています」
「なるほど、では各部署のKPIは?」
「KPIですか、、?もちろん流通額やサイトのビジターを追いかけています」
「いや各部署の指標を知りたいのだけど」
「草薙さん、すみません自分では把握していませんが、恐らく流通額など全社的な指標しかないと思われます」

恐らくオペレーション室を作りKPIを導入しようとするとこのような会話が繰り広げられると思われます。先ずは会社の組織を理解し改善効果の高い部署から手を付けるのが王道となります。これはもちろん懐疑的な社員が多い中素早く実績を見せないとオペレーション室自体の立ち位置が危機にさらされるからです。

2012年6月8日金曜日

KPI管理導入の手順

さてこれまでの連載でKPIの大枠は理解頂いたと思います。次によく頂くのは、「KPIの有効性は分かった、ではどう導入すればいいか」というご質問です。初回にご説明しました通り、先ずはトラックする風土を作ることが大事ですが、一歩引いてより現実的に効果の上がる導入手順を考えると下記の通りとなります。


1.売上の因数分解
2.KPIツリーの作成
3.責任者の明確化
4.KPIシートの作成
5.業務の見える化、業務フローの作成
6.改善ポイントの明確化
7.日報作成
8.会議体の構築
9.計測開始
10.アクションリスト作成
11.アクションのトラック、実行
12.PDCAサイクルのスピードアップ
13.情報の共有
14.全社のKPI風土醸成、継続教育


13は導入時に同時並行して教育をしていく必要がありますが、先ずは選ばれたメンバーで数字がどのように変化し、成長していっているのかを見える化し、それをサンプルに全社を啓蒙していくことが効率できでしょう。

再度になりますが、実はKPI管理の導入自体はさほど難しいものではありません。難しいのはKPIオリエンテッドな戦う組織を作ることであり、それができるのは経営者自身の固い意志のみといえるでしょう。

明日からは新連載としてオンラインショッピングサイトの実例を見ながらKPI管理のスムースな導入方法を研究して行きましょう。

2012年6月7日木曜日

KPIとは

本日は一息ついてKPI管理とは何かについて今一度振り返ってみましょう。

KPIとは初日にご紹介しました通りKey Performance Indicator、日本語にすると重要業績評価指標となります。これはアメリカで80年代後半に取り入れ始められた経営指標で日本でも2000年代から一般的なものとなっております。会社の業績を数字だけから分析するのは不可能ですが、同時に数値化出来ないものは管理することが出来ないということも真です。従いいかに有用なKPIを設定するかが非常に重要であるといえるでしょう。

本日までいかに一般の企業にKPI指標を導入するかという視点で記載してきましたが、アメリカでは遥かに進んでおり、経営陣の採用のさいにKPIにリンクしたボーナスを設定し、経営陣にはいかなる手段を用いてもその指標を達成することを強要します。経営陣は金銭的インセンティブのために我武者羅にKPI達成に向けて働くという構図です。結果として株主からみると経営指標が達成され業績も向上するということになります。

この手法は少々ドラスティックな部分もありますが、マネジメントサイドがしっかりと自社のKPIを理解し、KPIツリーを描いた上で、何を最重要指標に設定するかを理解しているともいえます。逆に言いますと、一般の日本の企業は明確に業績を左右するKPIの意識付けが、トップマネジメントレベルでも認識されていないことが多いといえます。売上と利益はもちろんですが、その売上と利益を構成する主要な指標を明確に理解しているかが最終的な業績を左右するわけです。

2012年6月6日水曜日

KPI管理の全体像

以上、14回に渡りKPI管理の全体像を説明してきました。先ずはKPIのトラッキングを始めること、次に正確にKPIをトラックするために、必要なツール、因数分解をしKPIツリーを構成することを説明しました。KPIが定まった後は、会議体の設定と各KPI責任を明確にすること、情報を共有すること、そのために日報は重要なツールであることもご理解いただけたと思います。

再度になりますが、数字をトラックすることが全ての始まりです。そしてその数字を元に他社よりも素早いサイクルで改善活動を継続する企業文化の醸成がKPIマネジメントの成否を左右します。ビジネスの成功に王道はありませんが、KPI管理が貴社の経営の見える化と生産性の向上に寄与することは間違いないでしょう。

2012年6月5日火曜日

KPI管理のための日報システム

システムと聞くと何か難しい響きがするかもしれませんが、ここでいうシステムとは「仕組み」という意味で、必ずしも情報システムである必要はありません。KPI管理で必要な会議体については先日説明しましたが、もうひとつ重要な要素がこの日報システムです。
目的は前日の業績を翌朝には分かる仕組みを導入し、経営の精度を上げることとなります。9時なり、10時なり貴社の実態に合わせ日報の提出時間を設け、各部署がその時間までに必ず日報を提出する仕組みを導入します。

ここでいう日報とは本ブログの一番最初に説明した、KPIシートの延長で構いません。各部署のKPIシートから主要指標を取り出し、その数字を的確にレポートします。このことで日々の変化が見れるようになり、経営陣も数字の変化を早期に発見できるようになります。また、この日報で重要な要素はKPIシートに追加し、先月もしくは指定の期間前の数字からの成長率を入れることとなります。企業活動にとり成長こそがガソリンであり、成長なくしては企業そのものの運営が成りいかないことを、全従業員が理解することがなにより重要です。そういう意味で、この前月、もしくは前期間との比較による成長率の記載とそれに対する経営陣の確固たるリーダーシップがKPI管理と会社経営の成否を決める大きなポイントとなります。

2012年6月4日月曜日

KPI管理のための会議体

KPI管理の仕組みが分かれば次に、そのKPI管理の仕組みをいかに会社の中に埋め込んでいくかが重要となります。ポイントは主要な会議でそのKPIをしっかりトラックする仕組みを導入することです。先ずはトラックすること、追って会議参加者に分析の宿題を与えることで次第に自ら分析して推進する組織が出来上がってきます。

左図の例ですと経営会議と予算会議を最高意思決定会議に設定し、そこに向かって営業レベル、開発レベル等主要部門が、またその下の各部署、チームレベルから情報を吸い上げてくる仕組みを会議の構成として作ります。その上で毎日のKPIトラッキング活動によりKPIを管理し、フォーマットを決めて会議に提出します。こうすることで、当初は社員も手間がかかると思っていたKPI管理が、実は日々のKPI入力だけをしっかりしておけば、半ば自動で会議資料ができることに気づくでしょう。

会議ではKPIを完結に報告してもらう際に、それらを改善するためのアクションを記載してもらいます。自己申告ですので、そのアクションは責任をもって遂行してもらいます。それらの自己申告アクションに加えて、経営陣から分析の宿題もでるでしょうし、新たなアクションの要求もでるでしょう。的確なアクションを指示し、それらをしっかりと実行されるまで監視することがこの会議構成の主要目的となります。

最後にそれらの最終的なKPIとそれに基づき決定された事項を最低でも週に一回全社員に共有することが、社員の自主的な行動を促す上でも非常に重要な要素となります。従い、全社情報共有会議の設定も忘れないよう設定しましょう。