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業績アップの三種の神器KPIシート、業務フロー、アクションリストを使いこなすこと

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今日他社よりも早く改善をできるかが明日の勝負を決める

情報は共有されているか

いくら苦労をしてアップデートしているKPIシートも共有されていないと意味はない、貴社では全従業員に情報アクセスを提供しているか

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2012年6月29日金曜日

営業部のKPI決定 1

実際に数字のトラックが始まった翌週、草薙と香川は営業部を尋ねた。
「大川さん、お久しぶりです。」
「ああ草薙さん、何かいろいろ壁に張り出されましたな。」
そう何事も見える化がを徹底し、従業員の意識を徹底することが重要です。
「本日は先日お伺いした業務フローをまとめたものと改善案をお持ちしました。」
「ほう、それは楽しみですな。」
「では早速香川の方から説明させます。」
「はい、大川さん、こちらが現行の業務フローとなり、営業のクローズまで平均で25営業日かかっています。ここの口頭合意から最終的な必要書類回収までの時間を短縮すれば15営業日でクローズすることが可能ではないかと考えております。」
「ほほう、それは目出度い、そんな簡単にリードタイムを短縮できるのなら是非採用したいね。」
「はい、こちらでオンライン登録と同時に必要書類のトラッキングを開始すれば十分可能と思われます。」
「香川君、簡単にオンライン登録とかいうけどね、それはもう1年も前に弁護士と相談して正式契約書にすることを勧められているんだよ。」
このように自身の保身のためにああ言えばこう言うという問答が続くと思われます。ただ大事なのはリードタイムを短縮すれば生産性が上がり、全新規顧客獲得件数が上がることを認識してもらうことです。粘り強く行きましょう。

ちょっとした議論の後、香川が続ける。
「大川さん、次に必要なのが各営業担当の平均的な時間ごとの業務内容です。先日1日営業の平田さんの横に座らして頂き、平田さんの一日の業務状況を調査させていただきました。結果、有効コール数が40件、有効コールの全ての合計通話時間は4.5時間でした。」
「それで?」大川は明らかに領海侵犯だというような不快そうな顔で返答した。
「いえ、本日は今後この有効コール件数と、総合通話時間をKPIにしたらどうかというご提案をしに来ました。」
草薙はすかさず、「またそれとは別にこれらの数字を壁に張り出し、今月の見込みを毎日変更させていくクセ付けをする必要があります。張り出す際に従業員ごとの競争を促すために各人毎の成績を見せるのがいいでしょう。」

2012年6月27日水曜日

実行力が重要

現在の業務フローとあるべき姿の業務フローができたらあとはKPIをトラックして目標に向かって進むのみです。必要なのは先ずはKPIシート、そして毎日徹底して入力することです。

「香川君、いろいろ情報もあつまったので来週の月曜からKPIのトラッキングを始めよう。」
「え?でも草薙さんまだどの部署ともKPIの合意が取れていませんよ?」
「いいんだよ、そんなの。オンラインショッピングをやっていたらどこもKPIなんて一緒だろ?」
「え、まあそうですが、、」と、香川は意外と草薙は強引な人間かもしれないと思いながら頷いた。
「誤解をされると嫌なのでもう少しだけ説明しておくと、基本のKPIがあって、それはもう会社で決まっていると思うんだな。それをいかに現場が徹底するかが成否の分かれ目だと思うんだ。なので、先ずは代表的なKPI管理を始める傍ら、各部署の詳細KPIを合意していけばいい。」
「なるほど了解しました。」

草薙は上機嫌に、「ではうちの利益は売上-仕入原価なのでその売り上げをどう作るかから書いていくと、先ずはトラフィックを呼んで来ないといけないので、訪問者、そして彼らのコンバージョン率、それと彼らの単価、これが基本となる。なので、マーケティング部門はこの訪問者に責任があり、それぞれ有料、無料の訪問者をトラックすることが基本でしょ。」
「はい」
「コンバージョン率は非常に難しいね。これは全部署が協力しないと達成できない。従い、それぞれ良いディールを作るという意味で、購買部、またよいページを作るという意味で編成部。また、お買い物カゴでのドロップを最低限にするという意味でも開発部も関わってくるだろう。」
草薙は続ける、「購買単価に関しても編成のお勧め的ナビゲーションと、開発の買いまわりしやすさも入ってくるので複数部署が担当となる。」
「これだけだと全く各部署がアクションをとってコントロールできませんよね?」
「そう、なのでもっと明確なコントロールできるKPIを各部署に設定するわけだ。マーケティング部には更には会員数を明確に追わせるべきだろうし、ユーザーのリピート率も必須となる。編成部は、自分で努力ができるキャンペーン数や、キャンペーンページのクリックスルーなどがいいだろう。営業はもちろん、獲得サプライヤー数だが、それに至るコール数と、それぞれのステータスの見込数だろう。」

「でもね、香川くんこんなことはさして重要ではないんだよ。重要なのはこれらを決めた後に、各担当が毎日入力すること、その数字を見て毎朝全員が知恵を出して話し合うことが重要なんだ。」

この会話の通り、先ずはKPIを設定して計測を開始すること。開始した後は毎日欠かさずトラックをする環境を作り、皆が数字を向上させる方法を考える習慣をつけること、これが一番重要な要素となります。

2012年6月25日月曜日

KPIツリーの導入

香川が業務フロー作成に精を出している間、草薙は次のステップを考えていた。やはりこの会社はKPI導入の概念の浸透が浅くまだまだ改善の余地がありそうである。
「香川くん」
「はい草薙さん」
「業務フローで忙しいと思うのだがもう一つ進めよう。この会社のKPIツリーを作ろう」
「KPIツリーですか?」
「そう、この会社の売上がどのように構成されているのかを分解するんだ」
「はぃ。。。」
あまりピンときていない香川を尻目に草薙はホワイトボードに「売上=」と書き始めた。
「売上は何で構成されているんだっけ?」と草薙。
「はい、オンラインショッピングの公式ですから、売上=アクセス人数x転換率x客単価ですよね?」
「そうだ。そこから先、どのように分解できるかが重要なんだ」
草薙は続ける
「例えば、アクセス人数にはお金を掛けて呼んだ有料トラフィックと、自然にやってきたトラフィック無料トラフィックの2種類があるじゃない?転換率はそれぞれのトラフィックソースによって違うかもしれない。もちろん客単価もだ。更に言えば商品数やサプライヤー数、キャンペーン数やイベントページ数、価格の競合優位数などもあげられるかもしれなし。それらを全てコントロールできた時に売上が上がるチャンスがある。KPIは決して売上が上がることを保証しないが、これらの数字がきちんとトラックできる限りおいて非常に有用なツールとなるんだよ」
「なるほど、ではまずこれを全社員に理解してむらう必要がありますね」

KPI管理の基礎となるこのKPIツリーについては経営陣で徹底的に協議し、全従業員が理解するようにしていく必要があります。一旦KPIツリーができれば、それを壁に張り出すなどし全従業員の意識の徹底をするとより効果的です。

2012年6月22日金曜日

ヒアリング総括と業務フロー

主要部署とのヒアリングが終わり草薙は香川と総括ミーティングを実施した。
「どう思う香川くん?」
「そうですね、全体にKPI管理が浸透しているようには見えませんでしたね」
「まあ、それは彼らにとっても初めてだから仕方ないよね」
「一番改善しやすそうなのはどこだと思う?」
「そうですね、見込み管理とデイリーミーティングをしていない営業でしょうか?」
「あとはKPIを追っていない編成チームkも良さ気に感じました」
「マーケティングは数字の見える化はできても改善できるかが分からないのと、開発はも同じですね。」
「その通りだね」と草薙は頷きながら香川は結構使えるのではないかと思い始めた。
「大事なのはまだ皆んながKPIが新しいと思っている間に成果の出やすいところで成果を出しすんて、全社員に注目してもらうことだね。最初は絶対に成果を出さないといけない。」「はい」と香川。
「ではゴールは営業の見込み管理が出来るようにするのと、日々その数字が全員に見えるように貼りだし、それを囲んで朝のショートミーティングをすること、結果としてそれらの合理化に伴い生産性を上げてクロージングまでのリードタイムを短縮することとしよう。先ずは手土産が必要だな。」
すかさず「それが業務フローということですね」と香川が続ける。
「その通り、じゃあ悪いけど営業部と話しながら現在の業務フローを作成してもらえる?」
「はい、業務フローですね。草薙さんすみません、実は作ったことがなく何かのひな形か何かを頂けると助かるのですが」
「ないねぇ、、前職では持ってたんだけどさすがにもってはこれないしさ。ネットで調べたら出てくるよ。でも基本はY軸に登場人物、X軸に時系列として、左から右にモノと情報とお金の流れを書いていけば大丈夫だよ」
「あ、はい、モノと情報とお金ですね。。」

こうして香川の業務フローとの奮闘が始まった。

「システム開発も結局この業務の定義が重要となるんだ。なのでしっかり勉強しといてね。」

「あ、はい。。」とシステム開発経験などない香川は首をかしげながら頷いた。
業務改善には先ずは現状の業務フローの確定とが重要。しっかり準備をしていきましょう。

2012年6月19日火曜日

開発部ヒアリング

続いて開発部の田中部長を訪問した。
「田中部長、お疲れ様です。早速なのですが開発部のKPIがあるのかないのかも含めてどのような状況か教えてもらえますでしょうか?」
「草薙さん、言うのは簡単なのですがなかなか開発では思うようにいかないのですよ。メンバーは夜遅くまで頑張っているのですがなかなか追いつかずに最近は納期に遅れることもしばしばあります。社長には人員増加をいつも相談して入るのですがなかなか許可がおりません。本日は逆にどのように管理したらいいかお知恵を拝借しようと思っていたのですが。」
「なるほど、ただ開発部ですので当然ガントチャート等はお使いなわけですよね?」
「ええそれはもちろん。こちらです。日々の業務はこれで管理しておりますが各エンジニアのKPIとなると管理ができていないというか、何を設定したらいいか分からないというのが本音ですね」
「なるほど、実は開発部の生産性をKPI管理だけであげようとするのはどこの会社でも少々厳しいというのが本音なのですよ」
「そうなのですね、それを聞いて安心しました」
「ただ、とはいえ全ての基本は各人の活動単位がわかっていることです」
「はあ・・」
「自分達が何に工数を使っているかがわかって初めて、本当の意味での必要リソースの過不足が分かるのです。従い、先ずは日々どの作業にどれくらいの時間を使っているのかを明確にするところからかと思います。」
「それはガントチャートで管理していることになっているのですが、なかなか実績を入力しないメンバーも多くて」
「そこですよ、田中さん。ビジネスサイドも開発サイドも基本は同じだと思うのです。結局は現場が徹底してやり切ることがKPI管理の基本だと思いますし、勝ち続ける唯一の姿勢だと思います。」

初回のミーティングにしては熱弁しすぎたと後悔しながら、草薙は田中にお礼をいい自席に戻った。

「さあ明日から具体的な改善策を考えていこう」と決意し帰途についた。

2012年6月18日月曜日

編成部ヒアリング

つづいて草薙は編成部の脇坂部長を訪問した。
「脇坂さん、KPI担当のオペレーション室の草薙です。本日はお時間ありがとうございます。」
「草薙さんこちらことお待ちしておりました。」
「さっそくですが編成部のKPIについて教えて頂きたいのですが。」
「もちろんです。編成部では社長の指示でビジター数とページビューを追っています。ただ正直なところビジター、ページビューともにいかにマーケ部がトラフィックを送ってくるかにかかっているんですよね。なので正直なところあまり力を入れてトラックしていません。何かアドバイスがあれば是非お聞きしたいと思っていたところです。」

草薙はまた内心にやりとしながら平静を装い、「もちろんです。」と答えた。
「脇坂さん、別件ですが編成チームの生産性はどう見られていますか?」
「みんなスキルが高いいいチームですよ。ただ問題はいろいろなチームからいろいろなリクエストが来るので慢性リソース不足ですね。なかなか納期通りに納品できません。一層のことキャンペーンの数を減らすべきだと思っています。」

この編成部の事例では最もよくありがちな誰かがやれと言ったのでやっているが、どうも自分はしっくりこないという例です。そして編成部でよくありがちなのが美的ディテールにはこだわるが、売上にはこだわらないという態度です。オンラインショッピングをやっている限り、デザイン大賞を狙うのではなく、いかに売れるページを作るかに専念すべきです。KPIは設定の仕方によりそうした意識改革もサポートすることができます。また本件の場合は、何か知らないが忙しいという状況ですので、同時に業務フローの見える化を通して、編成部全体の生産性アップに貢献できる可能性も非常に大きいと考えられます。KPIマネジメントとは単に数字をトラックするというものではなく、現場の見える化を通しての業務改善と社員の意識改革が伴うものです。その点を忘れずに推進をして行きましょう。

2012年6月14日木曜日

マーケティング部ヒアリング

日を改めて草薙はマーケティング部長の浅井部長と対面しました。
「草薙さん、いろいろと噂は聞いていますよKPIは私の大好きな管理指標でして、できることなら何でも協力しますから言って下さいね」

草薙はこの下手に出る浅井を警戒しながら話を始める。
「浅井さん、こちらこそよろしくお願い致します。今大好きとおっしゃいましたが、ではすでにマーケティング部のKPIは設定されているということでしょうか?」
「あたりまえですよ、こちらです」
と、浅井は自分のパソコンをスクリーンに投影しながらGoogle Adwordsにログインをした。
「今やっていることは、CPCを20円以下に設定し、限られた予算でなるべくクリック数をあげることです。同時にROIの目標を10%に設定しており、日々それを目指してチューニングしています。」
「なるほど、コンバージョンレートは見ていますか?」
「見ているけど主要な指標とはしてないですね。コンバージョンは購買サイドの商品への目利きや値段に左右されますからね」
草薙は議論をしかけたいところをぐっとこらえて次の質問に移った。
「Google以外はどうですか?」
「価格比較サイトやアフィリエイトをしていますが大した金額を投入していないのでクリック数とROI以外は見ていないですね」
「全体には月いくらの予算を使っていますか?」
「月によりますが6000万円くらいでしょうか?」
「そのうちGoogleにはいくらつかっていますか?」
「先月で2000万円くらいですかね」
大きいとはいえ全予算の3分の1しか使っていないGoogleしか管理していない、またしていといってもGoogle Adwordsのコンソールを見ているだけのこのマーケティング部長はきな臭いとと思いながら話を円満に終わらせ草薙は退室しました。

マーケティング部隊は効果が出てもでなくても予算がつき、また効果の出し方が非常に分かりづらいだけに、往々にして本ケースのように権限を誇示するが、自部署についている予算金額を守りたいがために自己正当化しがちな責任者が多いようです。こういう人達には自尊心を傷つけないよう見える化をしながら外堀を埋めていく必要があります。

2012年6月13日水曜日

各部署ヒアリング

草薙は現場主義を学んできたため、当然最初のステップは現場のヒアリングとなります。組織図全体を見渡して最も手をつけやすいのが営業部、また最も数値管理が進んでいるべき部署がマーケティング部と判断しました。

営業 大川部長とのミーティング
「大川さん、初めまして草薙です。KPI推進担当となりましたので今後共よろしくお願いします。」
「ふぅん、KPIね。まった新社長は現場も知らずにアメリカかぶれした思想ばっかり持ち込んで困った人だね。で、何を手伝えばいいの?」
「先ずは大川さんの部署での営業成績の管理について教えていただきたく。」

このようにいかに社長直下といえ、概ねKPI担当に対しては各部署の責任者の口調は冷たいものになります。この程度の抵抗にあって戸惑っているようではKPI担当は務まりません。意にかけずどんどんと要件を推進します。

「うちは40人の部隊で各営業マンが月10件の新規サプライヤーを探してくることがノルマとなっている。なんでもいいというわけではない。コマースフロンティアの選定基準に合致した選りすぐりのサプライヤーを獲得してくる義務がある。」
「なるほど、どのように管理されていますか?」
「今度営業会議に出てもらえば分かるが、40人が各5チームに別れており、それぞれのチームリーダーが数字の進捗とパイプラインを報告することになっている。そこで遅れているチームがあればはっぱをかけてリカバリーさせるということだよ」
「日々の管理はどうされていますか?」
「各リーダーが自身の裁量で部下をマネージしておる」

なるほど、と頷きながら草薙は内心ニヤリと笑いました。通常の会社ではこの週1回の営業会議が基本となりそれ以下のレベルまだ管理できていないことがほとんどだからです。また、進捗とパイプラインの管理はできていますが、着地見込みの管理ができている会社が意外と少ないと見受けられます。そういう意味で草薙は早くも改善の余地があると判断したわけです。

草薙は続ける「全体の達成率はどのような推移ですか?」
「最近は競業状況も激しく苦戦しておる。ここ5ヶ月は未達成で達成率が70%程度となっている。」
「なるほどそれは由々しき状態ですね」
「はっはっは、言うのは簡単だよ、何なら草薙君、君がやってみたまえ。」
草薙は受け答えせず続ける「電話件数等は管理していますか?」
「基本は社内にいるなと指導している、社内にいる間は受話器をガムテープでくくりつけとけと言っておる。まぁ典型的な営業部だな。がっはっは。」

草薙はこのミーティングで営業部の業務フローの作成支援を快諾してもらい、それが第一歩と言いながら次の行動に向け、電話件数と、会話時間管理、獲得見込み管理、リード数管理とリード数増加に向けた取り組みを改善点としてメモをして弦巻社長に報告した。

2012年6月12日火曜日

新連載 草薙のKPI導入記

本日からストーリー仕立てでKPI担当の直面する課題を個別に見ていきましょう。

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コマースフロンティア社は日本を代表するオンラインショッピング会社です。以前アメリカのビジネススクールに留学したことのある新社長弦巻直々の号令でKPIマネジメントが導入されることとなりました。弦巻社長は社長直下にオペレーション室を設置、前職での経験を買われ中途採用ながらこのオペレーション室初代室長に選ばれた草薙室長。着任早々新人担当の香川と二人三脚で現場との格闘が始まります。

初日
「香川君、先ずはコマースフロンティアの組織がどのような構造になっているのか組織図をもらえる?」
「はい草薙さん、当社の組織はこのようになっています」

※組織図を提示

「社長直下に各部署が並列しています。先ずはマーケティング部、ここではブランディングとパフォーマンス・マーケティングの両方を担当しています。次に当社は当然オンラインリテールですので、サプライヤーから商品を買い付ける購買部、そのサプライヤーを探してくる営業部、サイトを作る編成部、消費者からの問い合わせを受けるユーザーサービス部、開発全般を実施している開発部となっています」
「なるほど、では各部署のKPIは?」
「KPIですか、、?もちろん流通額やサイトのビジターを追いかけています」
「いや各部署の指標を知りたいのだけど」
「草薙さん、すみません自分では把握していませんが、恐らく流通額など全社的な指標しかないと思われます」

恐らくオペレーション室を作りKPIを導入しようとするとこのような会話が繰り広げられると思われます。先ずは会社の組織を理解し改善効果の高い部署から手を付けるのが王道となります。これはもちろん懐疑的な社員が多い中素早く実績を見せないとオペレーション室自体の立ち位置が危機にさらされるからです。

2012年6月8日金曜日

KPI管理導入の手順

さてこれまでの連載でKPIの大枠は理解頂いたと思います。次によく頂くのは、「KPIの有効性は分かった、ではどう導入すればいいか」というご質問です。初回にご説明しました通り、先ずはトラックする風土を作ることが大事ですが、一歩引いてより現実的に効果の上がる導入手順を考えると下記の通りとなります。


1.売上の因数分解
2.KPIツリーの作成
3.責任者の明確化
4.KPIシートの作成
5.業務の見える化、業務フローの作成
6.改善ポイントの明確化
7.日報作成
8.会議体の構築
9.計測開始
10.アクションリスト作成
11.アクションのトラック、実行
12.PDCAサイクルのスピードアップ
13.情報の共有
14.全社のKPI風土醸成、継続教育


13は導入時に同時並行して教育をしていく必要がありますが、先ずは選ばれたメンバーで数字がどのように変化し、成長していっているのかを見える化し、それをサンプルに全社を啓蒙していくことが効率できでしょう。

再度になりますが、実はKPI管理の導入自体はさほど難しいものではありません。難しいのはKPIオリエンテッドな戦う組織を作ることであり、それができるのは経営者自身の固い意志のみといえるでしょう。

明日からは新連載としてオンラインショッピングサイトの実例を見ながらKPI管理のスムースな導入方法を研究して行きましょう。

2012年6月7日木曜日

KPIとは

本日は一息ついてKPI管理とは何かについて今一度振り返ってみましょう。

KPIとは初日にご紹介しました通りKey Performance Indicator、日本語にすると重要業績評価指標となります。これはアメリカで80年代後半に取り入れ始められた経営指標で日本でも2000年代から一般的なものとなっております。会社の業績を数字だけから分析するのは不可能ですが、同時に数値化出来ないものは管理することが出来ないということも真です。従いいかに有用なKPIを設定するかが非常に重要であるといえるでしょう。

本日までいかに一般の企業にKPI指標を導入するかという視点で記載してきましたが、アメリカでは遥かに進んでおり、経営陣の採用のさいにKPIにリンクしたボーナスを設定し、経営陣にはいかなる手段を用いてもその指標を達成することを強要します。経営陣は金銭的インセンティブのために我武者羅にKPI達成に向けて働くという構図です。結果として株主からみると経営指標が達成され業績も向上するということになります。

この手法は少々ドラスティックな部分もありますが、マネジメントサイドがしっかりと自社のKPIを理解し、KPIツリーを描いた上で、何を最重要指標に設定するかを理解しているともいえます。逆に言いますと、一般の日本の企業は明確に業績を左右するKPIの意識付けが、トップマネジメントレベルでも認識されていないことが多いといえます。売上と利益はもちろんですが、その売上と利益を構成する主要な指標を明確に理解しているかが最終的な業績を左右するわけです。

2012年6月6日水曜日

KPI管理の全体像

以上、14回に渡りKPI管理の全体像を説明してきました。先ずはKPIのトラッキングを始めること、次に正確にKPIをトラックするために、必要なツール、因数分解をしKPIツリーを構成することを説明しました。KPIが定まった後は、会議体の設定と各KPI責任を明確にすること、情報を共有すること、そのために日報は重要なツールであることもご理解いただけたと思います。

再度になりますが、数字をトラックすることが全ての始まりです。そしてその数字を元に他社よりも素早いサイクルで改善活動を継続する企業文化の醸成がKPIマネジメントの成否を左右します。ビジネスの成功に王道はありませんが、KPI管理が貴社の経営の見える化と生産性の向上に寄与することは間違いないでしょう。

2012年6月5日火曜日

KPI管理のための日報システム

システムと聞くと何か難しい響きがするかもしれませんが、ここでいうシステムとは「仕組み」という意味で、必ずしも情報システムである必要はありません。KPI管理で必要な会議体については先日説明しましたが、もうひとつ重要な要素がこの日報システムです。
目的は前日の業績を翌朝には分かる仕組みを導入し、経営の精度を上げることとなります。9時なり、10時なり貴社の実態に合わせ日報の提出時間を設け、各部署がその時間までに必ず日報を提出する仕組みを導入します。

ここでいう日報とは本ブログの一番最初に説明した、KPIシートの延長で構いません。各部署のKPIシートから主要指標を取り出し、その数字を的確にレポートします。このことで日々の変化が見れるようになり、経営陣も数字の変化を早期に発見できるようになります。また、この日報で重要な要素はKPIシートに追加し、先月もしくは指定の期間前の数字からの成長率を入れることとなります。企業活動にとり成長こそがガソリンであり、成長なくしては企業そのものの運営が成りいかないことを、全従業員が理解することがなにより重要です。そういう意味で、この前月、もしくは前期間との比較による成長率の記載とそれに対する経営陣の確固たるリーダーシップがKPI管理と会社経営の成否を決める大きなポイントとなります。

2012年6月4日月曜日

KPI管理のための会議体

KPI管理の仕組みが分かれば次に、そのKPI管理の仕組みをいかに会社の中に埋め込んでいくかが重要となります。ポイントは主要な会議でそのKPIをしっかりトラックする仕組みを導入することです。先ずはトラックすること、追って会議参加者に分析の宿題を与えることで次第に自ら分析して推進する組織が出来上がってきます。

左図の例ですと経営会議と予算会議を最高意思決定会議に設定し、そこに向かって営業レベル、開発レベル等主要部門が、またその下の各部署、チームレベルから情報を吸い上げてくる仕組みを会議の構成として作ります。その上で毎日のKPIトラッキング活動によりKPIを管理し、フォーマットを決めて会議に提出します。こうすることで、当初は社員も手間がかかると思っていたKPI管理が、実は日々のKPI入力だけをしっかりしておけば、半ば自動で会議資料ができることに気づくでしょう。

会議ではKPIを完結に報告してもらう際に、それらを改善するためのアクションを記載してもらいます。自己申告ですので、そのアクションは責任をもって遂行してもらいます。それらの自己申告アクションに加えて、経営陣から分析の宿題もでるでしょうし、新たなアクションの要求もでるでしょう。的確なアクションを指示し、それらをしっかりと実行されるまで監視することがこの会議構成の主要目的となります。

最後にそれらの最終的なKPIとそれに基づき決定された事項を最低でも週に一回全社員に共有することが、社員の自主的な行動を促す上でも非常に重要な要素となります。従い、全社情報共有会議の設定も忘れないよう設定しましょう。